面接官としての基本姿勢:公正さと採否基準の明確化
面接官としての第一歩は「全ての候補者に対して公平であること」と「採用基準を明確にしておくこと」です。これにより、感情に流されずに客観的な評価が可能になります。全候補者に同じ質問をする
候補者ごとに質問を変えてしまうと、公平な比較ができません。 必ずベースとなる共通質問を用意しておくことで、全員の回答を同じ基準で評価することが可能になります。 その上で、回答に応じて深掘りする個別質問を追加していくとよいでしょう。 一貫した質問設計が、公正な面接の第一歩です。評価基準を事前に決めておく
面接官同士で評価の基準を共有していないと、「なんとなく良かった」「印象がいい」といった曖昧な判断に流れてしまいます。 求めるスキル、行動特性、価値観などを明文化し、どこを見るのかを事前に擦り合わせておきましょう。 定量的かつ客観的な評価ができるように設計することが、ミスマッチを防ぐ鍵となります。 基準が明確であれば、複数の面接官でも判断がブレにくくなります。先入観や印象に左右されない意識を持つ
服装や話し方、表情といった第一印象に影響を受けるのは人間として自然ですが、面接ではそれに引っ張られすぎてはいけません。 事実ベースで評価することを意識し、常に「なぜそう思うのか」を自問自答する癖をつけましょう。 特に面接の序盤で「良さそう」と思ってしまうと、以降の質問も甘くなりがちです。 印象ではなく、言動と実績で判断する姿勢が重要です。候補者を深掘りするための質問フレーム:STARメソッドの活用
STARメソッドとは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字をとったフレームです。これを使うことで、エピソードから本質を引き出しやすくなります。構造化された質問で話を具体化しやすくする
「何をしたか」だけを聞くと、抽象的な回答で終わってしまいがちです。 STARメソッドを使えば、出来事の背景から成果までを順序立てて話してもらえるため、内容の理解が深まります。 構造があることで面接官もメモを取りやすく、情報の整理がしやすくなります。 候補者の伝える力も同時に確認できるメリットがあります。経験から行動や価値観を引き出せる
過去の経験は、その人の行動傾向や価値観を知る手がかりになります。 単なる出来事ではなく、その時にどう考え、どう動いたかを知ることで、再現性のあるスキルや行動がわかります。 価値観が企業文化と合っているかを確認するのにも有効です。 スキルとカルチャーフィット、両面を見極めることが可能です。評価ポイントがブレにくくなる
面接官によって評価の仕方がバラバラでは、面接の意味が薄れてしまいます。 STARメソッドをベースに質問を統一すれば、どの候補者にも同じ軸で評価ができます。 複数人で面接をする場合でも、後で評価を照らし合わせやすくなります。 構造化された評価で、判断の正確性が向上します。S(Situation):状況を正確につかむ質問例
まずはその人が経験した場面の全体像をつかむことから始めましょう。どのような場面だったのかを聞く
たとえば「そのとき、どんな状況でしたか?」と聞くことで、候補者の置かれていた環境や背景がわかります。 プロジェクトの規模、期限、雰囲気など、細かい状況を聞き出すことで、後の評価が具体的になります。 成果だけでなく、どんな条件下で成し遂げたかが重要です。 状況によって求められるスキルも変わるため、丁寧に聞きましょう。関係者やチーム構成を確認する
「誰と一緒に取り組んだのか」「チームは何人構成だったか」などを確認します。 関係性によって、その人の立ち位置や果たした役割が見えてきます。 上司の指示なのか、自発的に動いたのかも評価のポイントになります。 組織の中でどう振る舞ったかを見ることができます。背景や前提条件を深堀りする
「その課題が発生した背景は?」と尋ねることで、問題解決の文脈が見えてきます。 なぜその仕事に取り組んだのか、どのような制約があったのかなどを掘り下げましょう。 理解の深さや視点の広さもチェックできます。 単なる作業者ではなく、思考力のある人物かを見極めましょう。T(Task):課題やミッションを明示する問いかけ
状況の次は、その中で候補者が「何を任されていたのか」「何を達成しようとしたのか」を明らかにすることで、責任感や目的意識を確認します。自分の役割や責任をどう認識していたかを聞く
「その場面で、あなたの役割は何でしたか?」という質問を通して、候補者が自分のポジションや責任範囲をどれだけ正確に理解していたかを見ます。 与えられた業務だけでなく、自ら課題を見つけて動いたかどうかもポイントです。 チームの中でどう貢献したかを語ることで、組織内での機能がわかります。 責任感と主体性の両面を確認できる質問です。その状況で求められていた成果を確認する
「どんな成果が求められていたのか?」という問いに対して、数字や期限といった定量的な目標が語られると、業務への理解度が深い証拠です。 逆に、目標を曖昧にしか捉えていない場合は、目的意識の薄さが疑われます。 組織全体の目的と自分の業務がどのように関係しているかを考えられているかも重要です。 成果をどれだけ明確に把握していたかが、プロ意識を示します。何が難しかったか、障壁は何だったかを掘り下げる
「その中で、どんなことが難しかったですか?」という質問は、候補者が困難をどう受け止めていたかを知るヒントになります。 問題に直面したときの思考や対応力、さらにその経験からの学びも引き出せます。 難しかった点が明確であれば、本人が業務をどう分析していたかも判断できます。 課題意識と問題解決力の深さを測る問いです。A(Action):実際の行動を具体的に引き出す質問
最も重視されるのが「具体的に何をしたか」です。行動にこそ、その人のスキルや考え方が現れます。どんな手順で対応したかを聞く
「具体的に、どんな順番で進めましたか?」という質問で、計画性や論理的思考の有無を確認できます。 場当たり的に動いていたのか、それとも段取りを意識していたのかがわかります。 一貫性があるかどうかも評価のポイントです。 行動の背景にある思考が見える質問です。チームや他者との関わり方を確認する
「誰とどのように連携しましたか?」と聞くことで、協調性やコミュニケーション能力を評価できます。 一人で完結した仕事でない場合は、報連相や巻き込み力などもポイントです。 上下関係や利害が絡む場面でどう動いたかを見ると、人間関係の作り方がわかります。 組織内での立ち回りを知るために重要な質問です。工夫した点や独自の判断を深掘る
「そのとき、工夫したことや自分で判断したことはありますか?」という質問で、創意工夫や判断力を確認できます。 マニュアル通りではない場面で、自分なりに最善策を見つけた経験を引き出すことが重要です。 挑戦や改善への意識も評価の対象になります。 単なる作業者ではなく、考えるプレイヤーかどうかを確認しましょう。R(Result):成果と学びを評価する聞き方
結果とその意味づけを知ることで、候補者の達成力や成長意欲が見えてきます。結果どうなったかを明確に確認する
「最終的にどうなりましたか?」という質問に対して、数値や事実で答えられるかを見ます。 成果が出ていない場合でも、どこまでやりきったのか、そのプロセスに価値があるかを判断しましょう。 努力と結果、両方のバランスを評価します。 定量・定性の両面で確認するのがベストです。結果に対しての本人の評価を聞く
「その結果について、自分ではどう思いますか?」と聞くと、自己評価力や内省力が見えます。 成功に驕らず、失敗を冷静に振り返れる人材かどうかを見極めることができます。 過剰な自信や、逆に自己否定が強すぎるタイプも見抜けます。 自己認識のバランスが取れているかを確認しましょう。そこから何を学び、次にどう活かしたかを聞く
「その経験から何を学びましたか?」「今後どう活かせそうですか?」という質問で、成長意欲を測ることができます。 学びを次の行動に反映させている人は、伸びしろが大きいです。 また、過去の失敗を活かして改善できる人材は、企業にとって価値の高い存在です。 経験を通じて成長する力があるかを重視しましょう。深掘り質問テクニック:「なぜ?」「具体的には?」「どう感じましたか?」

理由を聞いて思考の軸を確認する
「なぜそう思ったのですか?」と理由を聞くことで、思考の根拠を明確にします。 筋が通った説明ができるかどうかで、論理性や判断の質がわかります。 その人の考え方の癖や価値観も見えてきます。 あいまいな答えの場合は再度「もう少し詳しく」と促しましょう。抽象的な答えを具体的にさせる
「楽しかったです」「大変でした」など抽象的な表現には「具体的にはどんな点で?」と尋ねましょう。 具体性が増すことで、エピソードの真実味や説得力が高まります。 また、業務の理解度や関心の深さも浮かび上がります。 具体的な回答を引き出すことで、より正確な評価が可能になります。感情面から価値観を探る
「そのとき、どんな気持ちになりましたか?」と感情を尋ねることで、価値観や性格が垣間見えます。 嬉しい・悔しい・怖いなどの感情から、その人が何を大切にしているのかが伝わってきます。 エピソードをただの事実にせず、人間性を探るには感情が有効です。 価値観のマッチングは採用成功の鍵となります。本音を引き出すオープン&フィーリング型質問
候補者の「本音」や「人間性」を知るには、自由に答えられるオープンな質問と、感情にフォーカスした問いが効果的です。「どう思いましたか?」で感情を探る
「その出来事について、どう思いましたか?」と質問すると、候補者の価値観や感じ方が見えてきます。 単なる行動や結果だけでなく、「なぜそう考えたか」という深層心理を知ることができます。 その人らしさが最も表れるのは感情の部分です。 企業文化と合うかどうかを判断する材料にもなります。「一番印象に残っていることは?」で記憶に残る体験を聞く
「これまでで一番印象に残っている仕事(経験)は何ですか?」という質問は、その人の価値観や仕事観を探るのに適しています。 記憶に残る体験は、多くの場合、その人が大切にしている信念ややりがいにつながっています。 その話から、やりがいを感じるポイントや仕事への熱意を見つけることができます。 その人がどんな時にモチベーションが高まるかを知ることができます。「もしもう一度やるとしたら?」で改善意識を見る
「もし同じ場面をもう一度やり直せるとしたら、何を変えますか?」と質問することで、候補者の改善意識や自己成長への姿勢を確認できます。 反省し、次にどう活かすかという視点を持っている人は、組織の中で成長できる人材です。 完璧な答えよりも、誠実な内省の姿勢が評価されます。 伸びしろと学習意欲を評価するのに有効な質問です。NG行動リスト:面接官がやってはいけない姿勢・態度
いくら優れた質問をしても、面接官の態度や振る舞いによって候補者に不信感を与えてしまっては、本音は引き出せません。威圧的な態度をとる
高圧的な態度や、冷たい口調は候補者にプレッシャーを与え、正直な回答を引き出せなくなります。 面接は評価の場であると同時に、候補者に企業を知ってもらう機会でもあります。 候補者の能力を正しく見るためには、安心して話せる雰囲気を作ることが大前提です。 上から目線や詰問調は絶対に避けましょう。質問があいまいで一貫性がない
質問内容が漠然としていたり、候補者によって質問の内容や順序がバラバラだと、公平な評価ができません。 また、候補者も何を答えていいのか分からず、不安に感じてしまいます。 面接前に質問リストを作成し、構成を統一しておくことが大切です。 面接の質は準備で決まります。候補者の話を遮る
話の途中で口を挟んだり、結論だけを急ぐのはNGです。 候補者は自分の話をきちんと聞いてもらえないと感じ、本来の力を発揮できません。 まずは最後まで聞き、その後に質問を重ねるスタンスを心がけましょう。 傾聴姿勢が信頼関係を生みます。NG質問とは?法的・倫理的に避けるべき問いの具体例
採用面接では、聞いてはいけない質問が法律や倫理によって定められています。家族構成や結婚予定を聞く
「ご結婚の予定は?」「お子さんはいらっしゃいますか?」などの質問は、プライバシーの侵害にあたります。 本人の能力や職務適性と無関係な内容であり、差別につながる恐れもあります。 面接の目的から逸脱する内容は控えることが原則です。 労働法でも禁止されている質問が含まれるので注意が必要です。出身地や宗教に関する質問をする
「どこ出身?」「宗教は何か信じているの?」といった質問もNGです。 本人の価値観や思想・信条に関する内容は、差別の温床になりかねません。 どんなに興味本位でも聞かないようにしましょう。 面接官の無意識の偏見がトラブルを生む可能性があります。年齢や病歴を尋ねる
「おいくつですか?」「以前体調を崩されたことは?」などの質問も、応募者の人権を侵害する恐れがあります。 健康状態は採用後の安全配慮の観点から配慮は必要ですが、採用可否の判断材料にしてはいけません。 業務に直接関係のない質問は避けましょう。 不適切な質問は法的リスクにもつながります。面接官が避けるべき具体的NG行動:携帯・遅刻・威圧的態度など

面接中にスマホをいじる
スマートフォンを面接中に触るのは論外です。 候補者に対するリスペクトが欠けていると受け取られ、不信感を招きます。 面接開始前に通知はオフにしておくなど、集中できる環境を整えましょう。 候補者に敬意を持って臨む姿勢が基本です。開始時間に遅れる
面接官の遅刻は候補者の緊張を高め、不安を生みます。 ビジネスパーソンとしての信頼にも関わる行為です。 直前の会議などがある場合は、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。 時間を守る姿勢も評価の一環と考えましょう。圧迫的・高圧的な口調になる
「なんでそんなことしたの?」「それって普通じゃない?」といった言い方は、圧迫面接と受け取られる危険があります。 あくまで対話を重視し、丁寧な言葉遣いを意識しましょう。 冷静に質問することで、候補者も落ち着いて答えられます。 高圧的な言動は企業イメージを損なう原因になります。アイスブレイクで緊張を和らげ、本音を引き出す工夫
多くの候補者は面接に対して緊張を感じています。緊張したままでは本来の実力が出せず、評価にも影響が出てしまいます。最初の数分でアイスブレイクを行うことは、面接の質を大きく高めるポイントです。軽い雑談で雰囲気を和ませる
天気の話や「ここまで迷わず来られましたか?」といった簡単な会話で、まずは場を和ませましょう。 雑談によって緊張がほぐれ、候補者の表情が柔らかくなります。 短い会話でも、リラックスできる空気づくりができます。 第一印象で「話しやすそう」と感じてもらうことが大切です。「緊張しなくて大丈夫ですよ」と声をかける
面接官から「緊張されてますか?でも大丈夫ですよ」と一言かけるだけで、候補者の安心感は格段に上がります。 面接官からの気遣いは、候補者にとって非常に印象的です。 その後の会話のテンポもスムーズになり、本音を引き出しやすくなります。 人対人の信頼関係づくりは小さな言葉から始まります。面接の流れを最初に説明して安心させる
「今日は最初に自己紹介をしていただいて、その後にいくつか質問をします」といったように、面接の流れを最初に共有しておきましょう。 何を聞かれるかわからないという不安が軽減されます。 透明性のある進行は、候補者との信頼構築にもつながります。 安心できる環境こそ、本当の姿を引き出す土台になります。面接の構成:流れを整え、検証ポイントを統一する方法
面接の流れをあらかじめ整備し、質問と評価項目の連動性を持たせることで、より正確で公平な評価が可能になります。質問の順序を事前に決めておく
「導入→経歴→具体的なエピソード→逆質問」といった面接の基本構成をあらかじめ決めておきましょう。 面接の進行がスムーズになり、時間管理もしやすくなります。 同じ流れにすることで、他の候補者と比較しやすくなります。 構成の一貫性が面接の質を高めます。評価項目に沿った質問を準備する
面接で評価したい能力(例:課題解決力、主体性、コミュニケーション能力など)を事前に設定し、それに対応する質問を準備します。 そうすることで、質問の目的が明確になり、答えの評価もしやすくなります。 評価軸と質問をリンクさせることがポイントです。 質問の意図が明確だと、面接官同士での評価もブレにくくなります。各質問の意図を面接官同士で共有する
複数の面接官がいる場合は、質問の意図や評価基準をあらかじめ共有しておくことが重要です。 例えば「この質問では主体性を見てください」と確認しておくことで、面接後のフィードバックの質が高まります。 共有がないと、同じ質問でも違うポイントで評価してしまい、ミスマッチの原因になります。 チームで評価するには、認識のすり合わせが必須です。まとめ:ミスマッチ防止と候補者選定精度を高める実践ポイント
ここまで、面接において重要な姿勢、質問手法、避けるべきNG行動について解説してきました。最後に、採用の精度を高め、ミスマッチを防ぐための重要なポイントを改めて整理します。評価基準を明文化し、全員で共有する
どのような人材を採用したいのかを具体化し、評価ポイントを明文化しておきましょう。 また、それをすべての面接官と共有することで、ブレない選考が可能になります。 一貫性のある評価が、企業と候補者のミスマッチを防ぎます。 採用後の定着率を上げるためにも欠かせない取り組みです。STARメソッドで行動と成果を具体的に引き出す
候補者の過去の経験を聞くだけでなく、状況・課題・行動・結果の流れで話してもらうことで、能力と価値観が明確になります。 誰でも使いやすいフレームなので、質問の質を安定させる効果もあります。 エピソードの具体性が候補者の実力を正確に伝えます。 再現性のある行動特性を見抜くのにも効果的です。NG質問とNG態度を避けて信頼関係を築く
法的・倫理的に不適切な質問や、横柄な態度は、候補者の信頼を失うだけでなく、企業の評判にも悪影響を与えます。 誠実で丁寧な対応こそが、本音を引き出し、正しい判断につながります。 面接は選ばれる側でもあるという意識を持ちましょう。 候補者に「この会社で働きたい」と思ってもらうことも、面接官の重要な役割です。 採用は企業の未来を左右する重要な活動です。面接の質を高めることで、優秀な人材との出会いの確率が大きく高まります。ぜひ本記事で紹介した実践ポイントを取り入れ、公平で有意義な面接を実施してください。候補者との社風や同僚との相性を診断するサービス
『知っトク』
採用時に社風や同僚と相性を見誤ると早期に辞めてしまう・・・。
採用者と会社のミスマッチを少なくできれば、早期離職を防げると思いませんか?
Jobポテンシャル診断「知っトク」は、20問の心理テストで31パターンの性格タイプを診断。
性格タイプ別の質問で、社風や同僚との相性を「知る」ためのサービスです。
