外国人採用や海外経歴を持つ候補者の選考では、卒業証明書、成績証明書、在籍証明書を受け取っただけで、学歴・職歴を確認したことにはなりません。
現在は画像編集やPDF加工によって、大学のロゴ、会社印、署名、証明書番号まで精巧に再現できます。実在する大学や企業の名称を使用し、氏名、取得学位、卒業年月、在籍期間だけを書き換えた書類も、目視では判断できない可能性があります。
海外書類の確認で重要なのは、書類が本物らしく見えるかではなく、発行元が保有する正式記録と一致しているかです。
海外学歴は学校の実在確認だけでは不十分
海外学歴の確認では、主に次の項目を照合します。
- 教育機関が実在するか
- 所在国で正式に認定されているか
- 候補者本人の在籍記録があるか
- 学部や専攻が当時存在していたか
- 卒業年月と学位授与年月が一致するか
- 証明書番号や登録番号が有効か
- 卒業、修了、在籍、受講が正しく区別されているか
大学が実在していても、候補者が卒業したとは限りません。一定期間在籍しただけのケースや、短期課程の修了証を学士号・修士号として記載しているケースも考えられます。
教育機関自体が存在していても、対象課程が公的な認定を受けていない場合や、正規の教育実態が乏しいまま学位相当の証明書を発行する機関もあります。
したがって、学校名を検索して公式サイトを確認するだけでは、学歴確認として不十分です。
KCCは25か国の海外調査に対応
株式会社企業調査センターでは、アジア、北米、欧州、オセアニア、中東を含む25か国の海外バックグラウンド調査に対応しています。
KCCのバックグラウンドチェックは、採用予定者の学歴・職歴詐称、犯罪歴などを確認対象とし、候補者の同意を得たうえで実施します。公開されている対応国には、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、フィリピン、インド、インドネシア、マレーシア、米国、英国、ドイツ、フランスなどが含まれます。
海外調査では、国ごとに教育制度、証明書の様式、記録管理、照会窓口、個人情報に関するルールが異なります。
国内調査と同じ確認方法を当てはめるのではなく、現地制度に合わせて、教育機関、企業、公的登録情報など複数の経路から照合する必要があります。
アジア圏の海外経歴は原則確認すべき
アジア圏の候補者を国籍だけで一律に疑うことは適切ではありません。
一方で、海外の学歴や職歴が採用条件に含まれる場合、アジア圏の提出書類は原則として発行元確認まで行うべきです。
国や地域によっては、紙の証明書が現在も広く利用され、教育機関ごとに書式や記録管理方法が異なります。英語表記と現地語表記の違い、学校の統廃合、社名変更などにより、単純な検索だけでは正確な記録へ到達できないこともあります。
特に確認すべきなのは、書類のデザインではなく、次の事実です。
- 発行機関が正式に認定されているか
- 候補者本人の登録記録が存在するか
- 学位や資格が正式に授与されているか
- 在籍期間、雇用形態、役職が申告と一致するか
- 証明書番号が発行元の記録と一致するか
インドネシアは重点確認が必要
インドネシアは、海外書類の真正性確認を特に省略すべきではない国の一つです。
同国では卒業証書番号などを確認する公的な電子照会基盤が整備されています。現在の公式システムでは、国家卒業証書番号の有効性や登録データの整合性を確認できる仕組みが提供されています。
一方、データベースに番号が表示されたことだけで、すべての確認が終了するわけではありません。
- 氏名表記が本人情報と一致しているか
- 入学年・卒業年が申告内容と一致しているか
- 学部・専攻・取得学位が正しいか
- 教育機関が当時正式に認定されていたか
- 提出された証明書が実際に発行されたものか
これらを追加で照合する必要があります。
古い卒業記録、学校の統廃合、名称変更、データ移行の遅れなどにより、公的データベースだけでは確認できない場合もあります。その場合は、学校の正式窓口や関係機関へ個別照会を行います。
インドネシアでは、偽造卒業証書を作成・販売したとして警察が摘発した事例や、偽造された学歴書類の使用が捜査対象となった事例が実際に確認されています。
そのため、インドネシアの学歴確認では、候補者から渡された連絡先だけを使用してはいけません。教育機関の公式情報から独立した照会先を確認し、候補者本人の記録と証明書の内容を照合することが重要です。
職歴確認は在籍証明書の発行元まで調べる
海外職歴では、勤務先の実在性だけでなく、在籍期間、雇用形態、所属部署、役職、勤務地を確認します。
履歴書に記載された企業が実際の雇用主ではなく、派遣先、出向先、取引先、業務委託先だった場合、候補者の担当経験を過大に評価する可能性があります。
在籍証明書や推薦状に担当者のメールアドレスが書かれていても、その連絡先だけを信用するのは危険です。候補者本人や知人が回答する可能性を排除するため、企業の公式窓口や人事部門を独自に確認しなければなりません。
「確認不能」と「虚偽」は区別する
海外調査では、学校や企業の回答方針、記録の保存期間、廃業、合併などにより、確認できないことがあります。
回答が得られなかっただけで、直ちに経歴詐称とは断定できません。これは「確認不能」です。
一方、発行元が書類の発行を否定した場合、候補者の在籍記録が存在しない場合、申告された学位や在籍期間が正式記録と異なる場合は、採用判断に影響する重要な相違です。
人事担当者には、表記上の違い、確認不能、重大な虚偽を分けて判断する姿勢が求められます。
海外書類は採用決定前に確認する
海外学歴・職歴の確認は、入社後に問題が発覚してから行うものではありません。
学位、資格、勤務経験、役職が採用条件となる場合は、内定前または条件付き内定の段階で、候補者の同意を得て確認する必要があります。
外国人候補者を一律に疑うのではなく、国籍にかかわらず、採用判断の前提となる経歴を同じ基準で確認することが重要です。
書類の見た目ではなく、発行元の正式記録と一致しているか。
これが、海外学歴・職歴確認における最も重要な判断基準です。
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