近隣調査なんて今どき古臭いこと、必要?カルトにネズミ講、ご近所トラブル…本当にヤバい家は、普通のバックグラウンドチェックや面談だけではわからない

アメリカなどのグローバル企業でバックグラウンドチェックほぼ義務化されており、追随する形で日本でも採用時のさまざまなチェックに重きを置くようになりました。
コンプライアンスの厳しい昨今、企業様の本音は、リスクのある人物の採用は極力避けたい、これに尽きると思います。一方、プライバシーや人権の観点から、個人情報は大変センシティブな項目となっており、昔なら当たり前に行われていた面接での質問、上長による聞き取りや指導も、一歩間違えればパワハラや人権侵害として問題になります。この板挟みの状態で見直されているのが、近隣調査なのです。
百戦錬磨のプロによる近隣調査でしか発見できないこと。その例が、新興宗教やネズミ講と呼ばれるネットワークビジネスの勧誘員、非常識さや煽り気質によるご近所トラブル(社内トラブルが起きやすい)などです。どちらもチームや部署の和を乱されそうで、想像しただけで「一緒に働きたくない」と感じるのではないでしょうか。

不幸な生い立ちと稼ぎを盾に家族や近隣住民を支配 次のターゲットは我が社の社員⁈

今回のクライアント様は、製菓メーカー様です。海外でも日本のお菓子は人気があり、あちこちのスーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かけます。これはひとえに企業努力の賜物ですが、製菓というジャンルが比較的安定して、安心して新商品開発などに取り組めていることも理由でしょう。そういった業界の特色からか、他製造業に比べても、おっとりとした穏やかな従業員が多い印象が個人的にあります。
約半年前、企画部門に中途採用するにあたり、最小限のバックグラウンドチェックをご希望されたのですが、年末に再度ご連絡がありました。どうやらあの時採用した中に、問題のある人物が見つかったようです。チェックをすり抜けてしまったのか…我々調査員の間に緊張が走りました。
ご担当者様にお話をお伺いすると、他社員から当該人物の態度について苦情が出ており、いわゆるマウンティングや業務の押し付けあいなど比較的よくある人間関係トラブルかと思いきや、スピリチュアルっぽいセミナーや商品を勧められて嫌がっていた派遣社員もいたことが判明したのです。(派遣社員は既に契約満了)
引き続き、社内の聞き取りや注視を強めていく一方で、生活態度にも問題が無いか確認したいとおっしゃいました。生活態度というワードの裏には、宗教やネットワークビジネスにはまっていないか、特殊な思想を持っていないか、カスハラなど他者とのトラブルがあるのではないかという懸念があることを察しました。本人の考え方、価値観、生活態度などは、面談ではなかなか切り込みにくいトピックです。しかしながら社員や取引先に害となる著しい問題があれば、話は変わります。
以前のSNSチェックなどでは問題がなかったため、今回は近隣調査を選ばれました。
まず本人が申告した住所地に本当に居住しているかの確認から、近隣調査は始まります。申告居住地である亡き祖母の家に、現在は病気療養中の父親、パート勤務の母親、まだ学生の妹と住んでいることが確認できました。これらは本人の申告と相違ありませんでした。一家の生計を支えているとの話で、若いのに立派だと面接官も好印象を持ったものです。
ところが現地にて自宅を確認したところ…、不審な装飾品が玄関周辺に飾られている事が確認されました。また玄関内部やベランダ、部屋には、いくつもの同じ段ボール箱が積み重なっており、何らかの在庫を抱えている可能性が高いと判断されます。
確証を得るため、近隣住民へ聞き込みしたところ、本人の祖母が以前から新興宗教に入っており、祖母亡き後、一家の生活を支えている本人が熱心に勧誘活動や物品販売を行っているとの事でした。
まずこちらの家庭は少々複雑な事情があり、親が扶養、養育できなかったため、本人は小学校から10年間、祖母とのみ同居していた過去がありました。また家族の生活費や妹の学費も大半は、本人の収入や祖母から贈与された資産をあてにしており、そのため本人は家族内で支配的な立場にいたのです。この歪な家庭環境と、事情を知る近所の老人世帯は同情から勧誘を断れなかったという成功体験が、本人の感覚を狂わせてしまい、既に何人かの住民とはトラブルになっていることも確認できました。しかしながら本人は自己の正しさを疑うことはなく、職場でもターゲットを探しては勧誘や販売を繰り返していたのです。聖使徒第○階位という称号と、〇〇の生まれ変わりであるという意味の西洋名が書かれた表彰状が、会社のデスクからも出てきました。
信教の自由は法律で定められていますから、採用活動に影響しないのが原則です。しかしながらこのような金銭が絡む勧誘行為で近隣住民に迷惑をかけているとなると、今後社内でもトラブルの原因になります。その旨、我々はクライアント様に報告しました。

バックグラウンドチェックにはこんなに種類がある

バックグラウンドチェックとお聞きになると、次の3つを思い浮かべるのではないでしょうか。
①主に従業員の犯罪や違法行為を防ぐ目的で、犯罪歴や金融事故歴などの確認。
②本人が申告した経歴や成果、スキルや能力に虚偽や不正確な点がないか、これまでの職場に聞き取りするリファレンスチェック。
③一時期、頻発したバイト従業員などによるSNS炎上を未然に防ぐため、また短時間の面談や書類上ではわからない本当の人柄を知るためのSNSチェック。
どれも大切で、ご依頼数の多い人気調査項目です。しかしながら、実はこの3つ以外にも本日ご紹介した近隣調査のように様々な調査方法があります。自社のカラーや対象者のタイプによって上手く使い分け組み合わせることで、コスパの良いバックグラウンドチェックが可能になるでしょう。

なぜ近隣調査が必要なのか

近隣調査は昔からある調査方法です。一番イメージしやすいのは、結婚前の相手のご近所さんへの聞き合わせでしょう。当社のサービスのように企業様向けの近隣調査は、主に次の内容となります。
①候補者が申告の住所地に本当に住んでいるか
②候補者の生活状況
③近隣で候補者の悪評がないか
④収入に見合った暮らしをしているか
今回は、①については問題なかったのですが、③の点で大きな懸念がみつかりました。こういった事はどれも、当該人物の人柄、堅実さ、違法行為やトラブルに繋がる可能性を知る上で非常に重要な要素です。企業としては、できれば採用不採用を決定する前に確認しておきたかったものです。
気になって当たり前のことですが、今の時代、面接などでずばり聞きにくい事柄ですし、企業様が自力で調査するのは、法的にも人権面でも、また手間の面でも、困難でリスクが大きすぎるのでお勧めできません。そこでご活用いただけるのが我々プロによる近隣調査です。デリケートな近隣調査は、我々にお任せください。

虚偽申告した候補者を採用した場合の企業側のデメリット

しかし近隣調査なんて古臭いやり方では?本人の耳に入ったらまずいのではないか?このようにネガティブなイメージを近隣調査に持つ企業採用ご担当者様はいらっしゃいませんか?では、虚偽申告したり、思わぬ裏の顔を持つ候補者を採用してしまった場合、貴社にどのようなデメリットがあるか、今回の事例をもとに考えてみましょう。

候補者が熱心な信者で信仰を優先するあまり常識や社会性が疎かになっている場合、こんなことが社内で起きる可能性があります。
まず仕事よりも宗教活動を優先させることが考えられます。勤務中に、宗教活動に関する資料を作ったり、残業はいかなる緊急性があろうと拒否して集会に参加したり…。当然、周りとの軋轢が生まれます。何しろ、教義を自分や我が子の生命より優先し、輸血や治療、特定の食べ物を絶対拒否するのが一部の宗教です。
次に、今回のように職場での勧誘活動が起こり得ます。既に近隣住民に強引な勧誘を行っていることからこのリスクは高いでしょう。滅びに向かう誤った人々を救済している、反対する人は悪(魔)の手先と信じている以上、そのような宗教の信者に、ここは職場で宗教勧誘は禁止と言っても聞く耳はありません。退勤後に飲食に誘い信者仲間がやってくる、休日に自宅や集会に誘うという方法もよくあることです。これは雇用主としては絶対に阻止したいものです。場合によっては優秀な人材の退社やチームワークの崩壊を招きます。
また、このような勧誘を取引先など顧客に対し行う者もおり、顧客情報を持ち出すことも懸念されます。その様なことがあれば、貴社の信用は失墜を免れません。場合によっては先方から訴訟を起こされるでしょう。
特定の宗教を信じる人物はすべからく不採用とするべきかというと、これはそうではありません。しかしながら、今回の事例の様に節度を弁えない勧誘や、他人に迷惑や損害を与える信仰心、また自らを過大評価してしまうケースは、企業として絶対に受け入れられないものです。
従業員の問題行動により採用責任を厳しく追求される一方で、個人情報やプライバシーへのデリケートな配慮を強く求められる採用企業側。この悩ましい時代に貴社の負担を軽くできるのが、近隣調査なのです。

【少しでも早く炎上の芽を摘むことがコストパフォーマンス的にも優れている】

実際に「採用候補者または従業員の不適切な行動」を発見し対処した場合、
次の3つの時点で時間的コストと金銭的コストがどれくらい異なるかを比較してみましょう。
1、採用を決める前にSNSチェックを行い、著しい問題があったため採用を見送る場合
2、採用決定後入社前に問題が発覚し、採用を取り消す場合
3、採用後、当該従業員が不適切行動をしたため問題が起きた場合

【企業調査センターが貴社のためにできること】

仕事の能力の有無だけでなく、人格に問題がないか、ネットリテラシーに問題ないかというところまで、会社は気にしなければならない時代なのです。そもそもこの採用時のチェックは「米国では95%の企業が行っている」バックグラウンドチェックとほぼ同種のものです。
バックグラウンドチェック、採用時のチェックを重視すべき理由には、次の2つがあります。
・バックグラウンドチェックを行わず、不適切な人物を採用し不適切な業務に配属し、事故や損害が起きた場合、雇用主にNegligent Hiring(過失採用、怠慢雇用)という責任が問われることがある。
・採用にかかるコストは高いが、誤った人物を採用してしまってから解雇するのはより難しくコストやリスクが高い。

【採用前のリサーチ・現職員へのリサーチについて、ご相談は当社へ】

企業様にとって多大な損害を防ぐため、上記で紹介したように、当社ではSNSチェックをはじめとした様々なリサーチを承っております。
例えば、Sトク(SNS特定サービス)について解説しますと、このサービスではリサーチの過程で過去の違法行為や、あるいはそれ以上の問題が確認されることがあります。それだけでも「問題あり」と判断するには十分かもしれませんが、そこまでのリサーチ過程で浮上した不審な人物について、反社チェック(オプション)データーベース上で照会することによって、犯罪歴や反社会的勢力との関わりまでしっかりと確認することができます。