人当たりの良さで管理職を採用した結果、 現場で「報告されない事故」が積み上がった話

医療・介護業界の管理職採用では、「人当たりの良さ」や「現場での評判」が重視されがちです。
今回ご紹介する企業も、その判断軸で施設長・エリアマネージャー候補を採用しました。現場経験は十分。スタッフとの関係も良好。トラブルを起こしそうな印象はありませんでした。
しかし、採用から数か月後、内部確認を進める中で重大な問題が発覚します。現場で発生していた複数のインシデントが、正式な記録として残されていなかったのです。調査すると、その管理職は次の判断を繰り返していました。
・軽微な事故は口頭処理
・書面での記録を残さない
・行政報告は最小限にする
・問題は現場内で収める
本人の認識は一貫していました。「現場を混乱させたくなかった」「大事にするほどのことではなかった」
しかし結果として、記録が存在しない状態で問題が蓄積し、監査対応の場面で説明ができなくなりました。この時、企業側ははっきり気づきます。問題は、人柄でも能力でもなかった。「報告するか、しないか」という判断基準だったのです。
そして同時に、もう一つの事実にも気づきました。この判断基準は、面接では絶対に見抜けないということです。
そこでこの企業は、次の採用から**バックグラウンドチェック(採用前調査)**を導入しました。導入後に確認するようにしたのは、次のポイントです。
・過去のインシデント対応の実態
・記録を残していたかどうか
・監査・行政対応への姿勢
・上長への報告に関する判断基準
すると、面接では見えなかった情報がはっきりと浮かび上がりました。「問題を起こしたかどうか」ではなく、問題が起きたときに、どう判断してきたか。この視点を入れたことで、同社は以降の管理職採用で同じ失敗を繰り返さずに済んでいます。採用の失敗は、運や相性の問題ではありません。確認しなかった情報があっただけです。医療・介護業界では、一度の判断ミスが監査・行政対応・事業継続に直結します。
だからこそ、採用前に確認すべきなのは「良さそうかどうか」ではありません。どう判断してきた人かです。