近年、応募者のSNS投稿が原因で企業の信用が揺らぐ事例が目立っています。
中でもリアルタイム共有アプリ「BeReal(ビーリアル)」は、企業側が見落としやすい新たなリスクとして注目されています。
「今の瞬間を共有する」「加工しない」という手軽さの裏で、職場の様子や社内情報が本人の意図とは無関係に公開されてしまうケースが少なくありません。
ある中堅企業(従業員約500名)が、新卒採用の最終段階でKCC企業調査センターへSNS調査を依頼しました。
調査の結果、候補者が勤務時間中に投稿したBeReal写真に、顧客リストの一部がパソコン画面に映り込んでいることが確認されました。
投稿には位置情報も自動的に付与されており、勤務先の特定も可能な状態だったのです。
この報告を受けた企業は採用を再検討し、該当者の採用を見送る判断をしました。
その後、同じ人物が別の企業で同様の投稿を行いSNS上で炎上。
「もし採用していたら、自社も被害を受けていた」と採用担当者は語ります。
悪意のない投稿が、企業の信頼を一瞬で失墜させることを実感したケースでした。
BeRealがもたらす“想定外の情報公開リスク”
BeRealは、前後カメラを同時に起動し「今」をリアルに共有する仕組みです。
撮影者の背後には、オフィスの資料・モニター画面・ホワイトボード・顧客情報などが写り込む可能性があります。
さらに、投稿時刻や位置情報が自動的に紐づくため、勤務先や顧客先が第三者から特定される危険もあります。
本人の意図とは関係なく、企業情報が可視化されてしまうこの構造が、BeReal特有のリスクです。
企業が今すぐ取り組むべき5つの対策
1. 採用段階でSNS調査を行い、候補者の“オンライン上の人物像”を把握する
面接や書面で確認できるのは、あくまで表面的な職務適性です。
SNS調査では、投稿内容や言葉遣い、交友関係から価値観や倫理観を把握できます。
採用後のトラブル防止に直結するこの取り組みは、候補者と企業双方を守るための手段と言えます。
2. BeRealを含むSNS運用ルールを明文化する
「SNS利用に注意」といった抽象的な表現では、リスク回避はできません。
投稿禁止エリアや撮影制限、勤務中のスマートフォン利用ルールなどを明確に就業規則へ反映し、全社員へ周知する必要があります。
さらに、SNS投稿に関する懲戒基準を明示しておくことで、トラブル発生時の対応も迅速になります。
3. 社員教育で“投稿は発信ではなく公開”を浸透させる
「フォロワー限定だから安全」という認識は誤りです。
スクリーンショットや再投稿によって、限定投稿もすぐに共有される時代です。
SNSに投稿する行為は“全世界に公開する行為”と同義であることを、実際の炎上事例やBeRealの仕組みを使って理解させましょう。
年1回の講習では不十分なため、定期的に内容を更新する教育体制が理想です。
4. 投稿が発生しづらい社内環境を設計する
社員の行動を縛るのではなく、投稿を誘発しない仕組みづくりが鍵です。
・デスク・会議室・顧客先での撮影制限を明示する
・勤務中のスマホ使用ルールを見直す
・SNS投稿を検知できるモニタリング体制を整える
こうした環境整備によって、「起きる前に防ぐ」リスク管理が可能になります。
5. 経営層が主体となり、SNSリスクを経営課題として扱う
SNSトラブルを「広報対応」で片付ける企業は、危機対応の初動が遅れがちです。
情報の拡散は、取引停止・人材流出・株価下落といった直接的損失に発展します。
経営陣が主導し、人事・法務・情報セキュリティ部門が横断的に連携する体制を整えることが不可欠です。
KCCからのメッセージ
SNSは、個人の発信ツールとして不可欠である一方、企業にとっては制御が難しいリスク領域でもあります。
BeRealのようなリアルタイム投稿型アプリは、意図せず情報を外部へ晒す危険を内包しています。
KCC企業調査センターは、BeRealを含む各種SNSを対象に、採用前のリスク調査を実施。
潜在的な炎上・情報流出を可視化し、企業の信頼とブランドを守るサポートを行っています。
わずか1枚の写真が、企業の命運を左右する。
その1枚を見逃さないために、SNS調査という防衛策を。