1|退職代行利用が採用リスクになる理由
- 1-1 早期離職の再発
- 退職代行サービスを一度利用した人は、職場のミスマッチを感じた瞬間に「また代行で辞めればいい」と考えやすい傾向があります。採用コストとオンボーディングコストを回収できないまま離職される確率が相対的に高まります。
- 1-2 ハラスメント・訴訟トラブルの火種
- 退職代行を選ぶ動機が、上司との対立や社内ハラスメントである場合、新しい職場に同じ課題を持ち込むリスクがあります。特にインシデントが SNS で拡散した場合、企業のレピュテーション損失は無視できません。
- 1-3 情報流出・競業避止違反
- 引き継ぎが不十分なまま退職すれば、機密情報を持ち出したり、競合企業へ転職してしまったりするリスクが残ります。情報漏えいが発覚した時点では、すでに損害が発生しているケースがほとんどです。
- 1-4 経歴詐称の“隠れ蓑”
- 退職理由をごまかすために学歴や職歴を“盛る”、あるいはブランクを相殺するために架空プロジェクトを加える応募者が存在します。面接だけで真偽を判定するのは困難です。
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2|退職代行チェックで確認すべき4つのポイント
- 1. 退職プロセスの透明性
- 退職交渉を本人が行ったのか、それとも第三者に任せたのかを確認します。
- 2. 退職理由の一貫性
- 面接で語る理由、リファレンスの証言、各種書類に記載された理由に矛盾がないかを照合します。
- 3. 社内トラブルの有無
- 前職で懲戒処分や訴訟リスクが発生していないか、社内制度違反がなかったかをヒアリングします。
- 4. 情報セキュリティリスク
- 退職時の引き継ぎ状況や機密保持契約の遵守状況を第三者視点で確認します。これらを総合的に評価し、リスクを「客観的事実」としてレポーティングするのが退職代行チェックの目的です。
3|採用前に退職代行経験を見抜く4ステップ
- ステップ1 候補者ヒアリング
- 面接では「どうやって退職手続きを進めましたか」「退職交渉で一番大変だった点は何ですか」といった行動に踏み込んだ質問を行います。手続きを自力で行ったかどうかが見えやすくなります。
- ステップ2 リファレンスインタビュー
- 直接の上司や同僚に「退職時のコミュニケーション経路」「引き継ぎの質」を確認します。退職代行の介在があった場合、第三者が電話やメールで連絡してきたという証言が得られることがあります。
- ステップ3 人事・社労士ネットワークへの照会
- 守秘義務に抵触しない範囲で、前職の人事部や顧問社労士から退職手続きの概要を聞き取ります。退職証明書の発行経路や連絡担当者が本人か第三者かを確認できれば、代行利用の有無を裏づける材料になります。
- ステップ4 公開情報スクリーニング
- X(旧 Twitter)や匿名掲示板、業界コミュニティの書き込みを調査し、退職代行利用を示唆する投稿がないか検索します。本人特定につながる情報は必ず証拠保存し、調査日時を記録しておくことが重要です。
4|7営業日で完結するモデルフロー
- • Day 1 ポジション要件整理と懸念事項の洗い出し
- • Day 2 候補者から同意書取得、リファレンス先リストアップ
- • Day 3–4 リファレンスヒアリングと公開情報検索を並行実施
- • Day 5 前職人事・社労士への照会、追加質問の洗い込み
- • Day 6 集まった情報を統合しリスクを星 1〜3 でランク付け
- • Day 7 採用チームと配属予定部署へレポート共有し、オファー条件やオンボーディング施策を最終決定
5|ケーススタディ:IT スタートアップ A 社の実践例
- A 社は急成長フェーズにある開発部門で、エンジニアの早期離職率が 50 パーセントを超えていました。調査すると、直近 2 年で退職代行を利用した応募者 11 名を採用しており、その多くが入社半年以内に退職していました。そこで A 社は内定前に退職代行チェックを導入し、リスク星 2 以上の候補者に対しては次の 2 点を実施しました。
- • 現場メンターによる 1on1 面談を週 1 回実施
- • 入社後 4 週間はリモート可否を本人希望で柔軟に設定
- 結果として、施策導入から 1 年後には早期離職率が 18 パーセントまで改善し、採用コストで年間約 1,000 万円の削減効果が得られました。人事部長は「退職代行経験を排除したわけではなく、リスクを見える化して支援策を前倒しできたことが奏功した」と述べています。
6|候補者とのコミュニケーションで注意すべき3箇条
- • 偏見を捨てる
- 退職代行利用=不誠実とは限りません。メンタル不調やハラスメントを避けるためのやむを得ない行動だった可能性があります。
- • 事実確認に徹する
- 「利用の有無」を追及するのではなく、「退職プロセス全体を事実ベースで整理したい」というスタンスを伝えます。
- • 入社後の支援策とセットで語る
- 代行利用が判明してもすぐに不採用とせず、メンタルケア面談やリモート勤務など具体的なフォロー策を提示すると候補者の警戒心が緩み、情報を開示しやすくなります。
7|法的・倫理的留意点
- 1. 個人情報保護法への適合
- 調査目的と範囲、保存期間を文書で明示し、候補者から明示的同意を取得する必要があります。
- 2. 公正採用選考の原則
- 退職代行の利用有無は業務適性と関連するものの、家族構成や宗教、出身地など差別的要素を一緒に聞き出すことは避けてください。
- 3. 情報共有の最小化
- 調査結果は採用意思決定に関わる最小限のメンバーだけに共有し、アクセスログを残しましょう。
まとめ
- 退職代行サービスの普及により、「退職プロセスの透明性」は採用リスクマネジメントのフロンティアになりました。退職代行チェック は応募者を排除するための道具ではなく、リスクを見える化してオンボーディング施策を最適化するための情報基盤です。
- • まずは候補者ヒアリングで退職理由を具体的に聞き出す
- • 次にリファレンスと公開情報で事実を裏づける
- • 最後にランク付けしたリスクにもとづいて入社後支援を設計する
- これらを7営業日サイクルで回せば、早期離職率は確実に低減できます。2025 年現在、退職代行チェックの有無が、人的資本経営の成否を左右する分岐点と言っても過言ではありません。
- 採用担当者は「入口」だけでなく「過去の出口」にも光を当て、採用リスクをゼロに近づけていきましょう。
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