- 指導のたびに「ハラスメントです」と申告され、上司が注意を控える。すると遅刻、手順無視、ミスが増え、残業が増える。直近でも、福井県は元知事のセクハラを調査報告書で整理し、辞職まで進みました。 横浜市でも現役人事部長が市長のパワハラ疑いを会見で訴え、市長側は否定や一部認める説明をしています。 フジテレビも第三者委報告書で、社内のハラスメント被害や企業風土が問題として整理されています。 さらに厚労省の集計では「いじめ・嫌がらせ」の相談が54,987件で13年連続最多です。
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1)現場で増えるのは「注意しない」ではなく「注意が曖昧になる」
- 「言うと申告されるかもしれない」。そう思った瞬間、管理職の指導は短くなり、言葉が丸くなります。現場で増えるのは“注意ゼロ”ではありません。注意が曖昧になり、期限も手順も残らない状態です。この変化が続くと、問題行動は止まりません。止めるための材料が残らないからです。
- まず管理職の行動が変わります。遅刻や手順違反があっても、言うのは「気をつけて」「次から頼む」だけになります。何が問題か、どの手順が必要か、いつまでに直すかを言い切らない。
- 結果として、部下側は「許容された」と受け取ります。遅刻が続く。報告が遅れる。手順を飛ばす。現場の先輩が尻拭いをし、残業が増えます。管理職は欠員対応に追われ、さらに指導が雑になります。 次に揉める形が決まっています。口頭で済ませた注意は、後から必ずこうなります。
- • 「言った/聞いてない」
- • 「そんな意味だと思わなかった」
- • 「人格否定に感じた」
- ここで会社が詰むのは、判断の根拠が残っていないときです。注意の記録が無いと、配置転換も評価もできません。改善が見えない場合でも、次の手が打てません。
- 結果として、注意した管理職だけが申告対応で消耗し、次の注意を避けます。現場は「守る人ほど損をする」状態になります。組織の問題は、ハラスメントそのものではありません。指導が曖昧になり、記録が残らず、同じ問題が繰り返されることです。
2)「指導」と「パワハラ」を分けるのは、気持ちではなく“判断軸”と“型”です
- 「注意したら通報される」を止めるには、会社が先に線を引きます。厚生労働省の整理では、職場のパワハラは ①優越的な関係を背景に、②業務上必要かつ相当な範囲を超えて、③就業環境を害する言動です。3つが揃ったときに該当します。客観的に見て適正な業務指示や指導は、パワハラに当たりません。
- ここで管理職が迷うのは②です。だから会社が「言い方」と「残し方」を決めます。
指導の言い方(必ずこの順番)
- • 事実:1月26日、朝礼に10分遅刻しました。
- • 業務理由:開始前の段取りが止まり、担当者が待ちました。
- • 次の行動:明日から始業10分前に入室してください。
- • 期限:今週は毎日、9時前に入室。
- • 確認:今の指示を復唱してください。
言ってはいけない例(業務から外れる)
- • 「だからお前はだめだ」「性格が終わってる」などの人格評価
- • ミスと無関係な家庭・病気・容姿の話題
- • 大勢の前で晒す、長時間の叱責を繰り返す
- ※これらは業務目的から外れ、②③に寄ります。
記録の残し方(30秒で書ける項目だけ)
- • 日時/場所
- • 事実(見た内容)
- • 指示(次にやる行動と期限)
- • 本人の返答(「できます/できません」「理由」)
- • 次回確認日
- この「型」があれば、管理職は言い切れます。人事は後から確認できます。申告が出ても、会社は事実と手順で処理できます。線引きは精神論ではなく、同じ順番で言い、同じ項目で残すだけです。
- 昭和の職場は、上司の経験と感覚で叱る場面が多く、言い方も人によって違いました。令和の職場は、同じ指導でも「業務目的」「言動の範囲」「記録」の3点が揃わないと、会社が説明できません。厚生労働省の集計でも、民事上の個別労働紛争の相談は「いじめ・嫌がらせ」が54,987件で13年連続最多です。 相談が多い以上、「注意しない」を選ぶと遅刻や手順無視が増え、現場の負担が上がります。
- 一方で、言い方が乱れ、記録が残らない指導は、後から「人格否定に感じた」「言った/聞いてない」で揉めます。会社がやるべきは、管理職に我慢を求めることではありません。指導の台詞テンプレ(事実→業務理由→次の行動→期限→確認)を統一し、記録フォーム(日時/事実/指示/本人の返答/次回確認日)を全員に持たせ、申告が来た時の手順を固定してください。これで、指導は通り、現場は荒れません。
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