堕ちた秀才の経歴詐称の陰には氷河期世代の悲哀?しかし法務を任せるには不適切と判断

  • 採用時に、応募者に対し一切、学歴、職歴を問わず、筆記試験、適性検査、面談のみで判断している企業は、私どもがご依頼を受けたクライアント様の中にはありません。一社もです。また我々調査員達のこれまでの就職・転職活動でも、出会ったことがありません。
  • 即ち、「学歴非重視」「実力主義」「未経験者歓迎」「人物本位」と銘打った採用活動でも、どの高校や大学を卒業したか、これまでどの企業で働いてきたか、或いは正規雇用なのか非正規雇用なのかが、全く関係ないわけではないのです。
  • むしろ、面接での質疑応答や印象が良ければ、有名大学、一流企業といった輝かしい経歴は基本的に「さすがだ」「納得」と採用を後押しする要因になります。
  • 特に3K、5Kな現場仕事がある製造業や、中小企業では、そのイメージから高学歴な若者から敬遠される傾向があることは事実。
  • ですから、立派な経歴の応募者は、採用する側にとって魅力的です。
  • しかし、ここに一つの落とし穴があります。
  • 当該人物が提出した履歴書の大学名や企業名が一流で、面接での受け答えの印象が良ければそれだけで、当たり!!こう判断してしまいがちなのです。
  • しかし、その経歴が詐称であったらどうでしょう。

聡明で人あたりの良い採用候補者だったのに…嘆息する人事担当

今回のクライアント様は中小メーカーの法務部です。
資格は必要ないが法律知識があり、難解な法令、文書の読解やリサーチに抵抗がない人物。省庁や取引先との折衝もお願いしたいので、人あたりの良い人物なら尚更良い。そのような目線で選ばれた中途採用候補者について、バックグラウンド調査のご依頼をいただきました。
経歴詐称の有無を特に調査したいとのご要望があったのは採用候補者に不審な点があったわけではなく、法務担当という職務上、懸念のない人物を採用したいということでした。
調査の結果、採用候補者に経歴詐称が見つかりました。
本人申告では法科大学院に入学し2年半在籍したが、卒業を目前に家庭事情でやむを得ず中退し、司法試験も断念したとの話だったのです。
我々が調査し確認したところ、実際は1年で休学しており、その理由は成績不良で奨学金が維持できなかったためでした。
また職歴についても確認しましたが、一社は在籍期間が履歴書の記載より2年ほど少なく、その期間は夜職のアルバイトをしていたことが更なるSNS調査で判明しました。その他の一社は、本人の申告では直接雇用の契約社員だったとの事でしたが、実際は派遣社員として働いており、給与も月収30万円ではなく時給1400円でした。以上をクライアントにご報告。
この人物は良い大学、大学院と立派な学歴であり、大学新卒時には誰もが知る一流企業に入っていました。断念したとは言え司法試験を目指していたこともあり、面接での受け答えも聡明な上に非常にもの柔らか。見た目も真面目そうでした。
この調査結果に採用担当者はショックを受けたご様子で、本人は氷河期世代であることから大変苦労したのだと思われるが実に残念だと嘆息していらっしゃりました。

詐称と映えのための盛りとアピール上手はどう違うのか

経歴詐称が増えているというお話は、これまでにも何度かさせていただきました。経歴詐称は許されることではありません
しかしながら何故応募者がそのような嘘」を申告するのかというと、
時には今回の事例の氷河期世代のように時代に翻弄され辛酸を舐めた非常に切なく悲しい理由があることも。
一方、業種や職務によっては、当該人物の誠実さ、正直さ、安定、信用が一般基準より強く求められるでしょう。また特定の知識、スキル、経験が業務遂行に必須な場合もあります。
自社の利益を損なわないためにはやはり、重大な経歴詐称がないかの確認は欠かせないでしょう。
経歴やスキル、役職などを盛っていたことがバックグラウンド調査で判明するケースは散見されます。その数は、他の報告に比べても、近年増えているように感じます。しかしながら、近年は人手不足を反映し、顕著な売り手市場。

そんなに多くの人が経歴詐称までする必要があるのか。

転職活動で「盛る」人が増えている原因として、今回の事例のように、上手くキャリア構築できず不器用な生き方しかできなかった人が藁をも掴む思いで経歴詐称してしまうパターン以外にも、もう二つの可能性が考えられます。
まず一つめは、InstagramやTikTokをはじめとしたSNS映えです。インスタ映え、キラキラアカウントという言葉が流行しましたが、そこでは皆が自分を最大限に盛ります。自撮りアプリの加工フィルターで作る理想の自分。写真には決して映り込まない日常生活。今や、スマホ搭載のカメラそのままで、フィルター加工しない人がどれくらいいるでしょうか。盛ることが当たり前の世の中では、自分の人生の経歴を少しくらい盛ることについて罪悪感が弱まってしまうのかもしれません。
次に、昔と違い今のジョブハントでは職務経歴書が必須です。海外との関わりがある企業の場合、CV(英文での職務経歴書)が求められることも少なくありません。また、LinkedInなどを活用し、絶えずキャリアアップ、転職に意識を向けている人もいます。そういった場合、いかに自分を売り込むかが重要なスキルになります。

次の例をご覧ください。どちらを採用したくなりますか。

学生時代はハンバーガーチェーンで2年アルバイトをしました。仕事内容はカウンターでの接客です。 学業と両立させながら、私は世界最大のファストフードチェーンで働きました。私のタスクは、来店したお客様にスピーディーでフレンドリーかつ正確なサービスを提供し、マニュアルに添いながらも柔軟に対応し、ブランドイメージの向上に努めることです。他のクルーとの関係も非常に良好で、勤務態度も評価されていたため、私は2年以上という長期間、この仕事を継続しました。
  • この2人がしたアルバイトは同じ、マクドナルドのクルーです。
  • いかに自分を有能で価値の高い魅力的な存在に見せるか
  • このテクニックが、職務経歴書の書き方、面接の受け答えを指南する本やウェブサイトで紹介されているのですから、応募者の頭の片隅に、「少しくらい大袈裟に言って構わない」という感覚は少なからずあると考えるべきです。
  • 折しも、今、ネットで、アップル製品の販売代理店員から外資系保険会社の営業に転職された方のアピールテクニック満載な職務経歴書が話題になっていて、賛否両論が集まっております。
とはいえ、今回の事例のような明らかな経歴詐称は許されるものではありません。企業は採用前にこういった人物が候補者にいないか目を光らせる必要があります。しかしながら、面接の態度、受け答えも上々、一見、何の不審な点も無い場合でも、いざ調査をしてみると役職を盛っていた等、経歴詐称が確認されることがあります。注意が必要です。
しかしながら、どう注意すれば良いのでしょう。
面接担当者に、20分で見抜けなかったからと責を負わせるのはあまりに酷というものです。そこで我々の採用前バックグラウンド調査をご利用いただきたいのです。  

少しでも早く炎上の芽を積むことがコストパフォーマンス的にも優れている

実際に「採用候補者または従業員の不適切な行動」を発見し対処した場合、 次の3つの時点で時間的コストと金銭的コストがどれくらい異なるかを比較してみましょう。
1、採用を決める前にSNSチェックを行い、著しい問題があったため採用を見送る場合
2、採用決定後入社前に問題が発覚し、採用を取り消す場合
3、採用後、当該従業員が不適切行動をしたため問題が起きた場合
 

【企業調査センターが貴社のためにできること】

  バックグラウンドチェックの他に、SNSチェックというものもございます。
こちらは、採用候補者の人となりを確認するという目的に加え、SNSそのものから発する炎上を予防するという側面もあります。
過去の発言や投稿から見て、今後どのようなSNS発信をする人物であるかも確認したいものです。
昨今は皆さま既によくご存じのとおり、ネット社会であり、また問題行為に対し法律ではなく社会が厳しい時代でもあります。
昨今、何かしら事件が起きると、あっという間にSNSで炎上し、本人の氏名や外見だけでなく、勤務先や出身校まで特定されてしまいます。
問題行動がプライベートで起きたものであれ徹底的に糾弾されるのに増して、就業中にやらかしたとあっては、雇用主である企業が批判にされたり、イメージダウンすることは想像に難くありません。
仕事の能力の有無だけでなく、人格に問題がないか、ネットリテラシーに問題ないかというところまで…
会社は気にしなければならない時代なのです。
そもそもこの採用時のチェックは、米国では95%の企業が行っているバックグラウンドチェックとほぼ同種のものです。
バックグラウンドチェック、採用時のチェックを重視すべき理由には、次の2つがあります。
・バックグラウンドチェックを行わず、不適切な人物を採用し不適切な業務に配属し、事故や損害が起きた場合、雇用主(Negligent Hiring過失採用、怠慢雇用) という責任が問われることがある。
・採用にかかるコストは高いが、誤った人物を採用してしまってから解雇するのはより難しくコストやリスクが高い。

【採用前のリサーチ・現職員へのリサーチについて、ご相談は当社へ】

  企業様にとって多大な損害を防ぐため、上記で紹介したように、当社ではSNSチェックをはじめとした様々なリサーチを承っております。
例えば、Sトク(SNS特定サービス)について解説しますと、このサービスではリサーチの仮定で過去の違法行為や、あるいはそれ以上の問題が確認されることがあります。
それだけでも「問題あり」と判断するには十分かもしれませんが、そこまでのリサーチ過程で浮上した不審な人物について、反社チェック(オプション)データーベース上で照会することによって犯罪歴や反社会的勢力との関わりまでしっかりと確認することができます。
 

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