経歴詐称の見抜き方とは?見抜いたあとの対応まで解説

こんにちは、KCC(企業調査センター)です。 KCCでは雇用調査や社内調査、取引先信用調査など企業の「人材」と「取引先」のトラブルを未然に防ぐためのあらゆる調査を行っております。 近年の採用プロセスは多様化しており、中には最初から最後までが非対面で行われるようなケースもあります。しかし、提出された書類に記載された情報やオンライン面接での受け答えなどの信憑性については判断に迷うところではないでしょうか。 例えば書類に輝かしい経歴や申し分のない実績が記載されていたとしても、それが本当かどうかはわかりません。もし内定を出してしまった社員の経歴に何らかの詐称があったとしたら後々問題となり、会社の経営にも悪影響を及ぼします。経歴詐称は軽微なものから重大なものまで意外と多くの候補者が行なっていることなので、企業としては何らかの対策をとらなければいけません。 そこで今回は経歴詐称の見抜き方について、いくつかのパターンとともに詳しく解説していきます。

経歴詐称の見抜き方

リファレンスチェック・バックグラウンドチェック

リファレンスチェック・バックグラウンドチェックは、経歴詐称を見抜く一番確実な方法です。経歴詐称は、軽微なものも含めて詐称の種類も範囲も多岐にわたるので、素人が見抜くことは至難の業です。しかし、リファレンスチェック・バックグラウンドチェックでは豊富なノウハウを持っているプロの調査員がポイントを抑えて経歴を調べていくので、少しの違和感も見逃しません。  

卒業証明書の提出

新卒採用であれば卒業証明書の提出が求められることもありますが、中途採用ではそのようなことがほとんどありません。しかし、中途採用であっても新卒採用と同様に学歴詐称のリスクはあるので、中途採用だからと高を括らずにきちんと卒業証明書の提出を求めましょう。  

雇用保険被保険者証の確認

会社は採用候補者の入社手続きの際に、「被保険者番号」を確認するために雇用保険被保険者証の提出を求めます。会社が知りたいのは「被保険者番号」なので、前職名が記載されている「雇用保険被保険者資格等確認通知書」が雇用保険被保険者証と一体になっていても、採用候補者は切り離して提出することが一般的です。 よって、雇用保険被保険者証から前職を確認したいのであれば、「雇用保険被保険者資格等確認通知書」が切り離されていない状態の雇用保険被保険者証もしくはそのコピーの提出を求めるとよいでしょう。  

退職証明書の確認

採用候補者に対して退職証明書の提出を求めることもできます。退職証明書は、労働基準法上、労働者(退職した採用候補者)の請求に基づき会社が発行しなければなりません。そのため、採用候補者から退職した会社に依頼すれば必ず取得できる書類となっています。もし提出ができないとしたら、経歴詐称、あるいは会社側の労働基準法違反の可能性があるということになります。  

源泉徴収票の確認

源泉徴収票は、会社が社員の年末調整をする際に前職の所得や社会保険料控除を通算して実施する必要があるため、入社時に採用候補者から提出を求めるものです。もし採用候補者が何らかの理由をつけて提出を拒む場合は、経歴詐称の可能性があります。  

年金手帳の確認

会社が採用候補者の基礎年金番号を確認することを目的に、入社の際に年金手帳の提出を求めることがあります。 年金手帳にはいままでの年金加入記録が記載されているため、保険の種類から会社員として勤務していた期間を詳細に知ることができます。提出を拒む、あるいは基礎年金番号の該当部分のみのコピーを提出するなどの場合は経歴詐称をしている可能性があります。  

面接での質問

面接官の手腕が問われますが、面接での質問のし方によって経歴詐称を見抜くことができます。もし経歴詐称があった場合には、職務経歴書に書かれている内容を一つひとつ深掘りしていくことで回答に矛盾が出たり話の整合性がとれなくなったりするものです。あら探しをするような懐疑的な質問のし方ではなく、経歴についての興味から質問をするというスタンスで深堀りしていきましょう。

経歴詐称されやすい項目とは

学歴

学歴詐称としては卒業した大学を偽る、中退を卒業と偽る、高卒を大卒と偽るなどあからさまな詐称から、卒業年度を偽る(浪人や留年の隠蔽)、学部・学科を偽るなど部分的な詐称まで様々あります。  

職歴

職歴の詐称も様々です。社名を偽る、雇用形態を偽る、在職期間を偽るなど、採用に有利に働くように実際の職歴よりも良い会社や良い待遇にして偽ることがあります。また、部署や役職を偽ることもあります。  

犯罪歴

犯罪歴は履歴書に賞罰欄がない場合には、面接等で聞かれない限り申告の義務はないので、言わなかったとしても隠蔽や詐称ということにはなりません。しかし、申告が求められているにも関わらず言わなかった場合は隠蔽ということになります。  

免許・資格

採用にあたって必要とされる、あるいは有利とされる免許や資格を保有していると詐称することもあります。保有していない免許・資格を保有しているとする場合や、保有している免許・資格の等級を詐称する(本当は2級のところを1級とするなど)場合の両方があります。  

実績・スキル

実績・スキルの経歴詐称は軽微なものも含めて多く行われています。数値化できる実績であれば少しだけ数値を盛ったり、スキルであれば習熟度を実際よりも高く伝えたりと、全くの偽りということではなく何らかの脚色がある場合が多いです。中には実績やスキルを完全に捏造している悪質なケースもあります。  

年収

中途採用では採用候補者の前職の年収を参考にして年収を提案することが一般的です。そのため、実際にもらっていた年収よりも高く偽って伝えることもあります。  

経歴詐称を見抜いたら内定は取り消せる?

結論から申し上げると、内定を出した後に経歴詐称を見抜いた場合、内定を取り消すことは難しいです。一度内定を出してしまったら、それは労働契約を締結したとみなされるからです。 しかし、ハードルは高いですが、経歴詐称の内容によっては内定取り消しが不可能というわけではありません。ここでは、どのような経歴詐称が内定取り消しの対象となり得るのかご紹介します。  

学歴を詐称していたケース

採用候補者が学歴や職歴などの経歴を詐称していた場合は、内定取り消しの要因として認められることが多いです。内定取り消し=解雇になりますが、解雇では客観的・合理的、かつ社会通念上相当な理由がないといけません。しかし、学歴や経歴詐称であればこれらの理由に該当するため、内定取り消しが認められる可能性は高いでしょう。  

犯罪歴・反社関係を隠していたケース

犯罪歴や反社会勢力との繋がりは、社会通念上内定取り消し=解雇の理由に十分なり得るので、内定後であっても内定取り消しが可能です。 しかし、いずれのケースも会社独自の判断で、一方的に内定取り消しを伝えるのは会社にとって多大なリスクを伴うので避けましょう。まずは、弁護士に相談することをおすすめします。顧問弁護士がいるのであれば話は早いですが、新たに弁護士を見つける場合には労働問題を得意とした弁護士に相談してみましょう。 こちらの記事もご覧ください! 「経歴詐称で内定取り消し・解雇はできる?」(今月のもう1本、公開後にリンク)  

経歴詐称を見抜いたら解雇はできる?

既に従業員として雇っている社員を解雇させることは、詐称内容によっては可能ですが、こちらも弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。解雇に値するかどうかの根拠となる詐称の度合いや悪質性などについては、弁護士の見解によっても異なるので、慎重な判断が必要です。 また、会社側から解雇できるかどうかというよりも、詐称が発覚したことを相手に伝えることで、本人がそれを認めて自ら退職するかどうかという問題もあります。伝え方次第ではありますが、弊社の経験では、このようなケースは退職を受け入れるケースがほとんどです。伝え方は重要なので、併せて弁護士に相談してみるとよいでしょう。 こちらの記事もご覧ください!
経歴詐称で内定取り消し・解雇ができるケースとは?できない場合の対処法も解説!
 

経歴詐称者が入社する場合の対応とは

経歴詐称者に対して内定取り消しもできず、懲戒解雇もできなかった場合に、苦肉の策として会社側から何かしらのペナルティを課すことを考えるかもしれませんが、それはおすすめしません。何かしらのペナルティ(制約や条件)のもと雇用し続けるよりも、まずは穏便に解雇を目指す必要があるのではないでしょうか。 経歴詐称の程度によっては解雇が法的に認められない場合もあります。相手が不当解雇を訴えそうな社員の場合は、他の解雇事由がないか調査し、決定的な解雇事由が発覚した時点で解雇を正当化することができます。このような込み入った調査は弁護士でも難しいので、専門の調査会社に依頼することをおすすめします。  

経歴詐称者を見抜けなかった際のリスク

社内の秩序が乱れる

社員の経歴詐称が社内に知られていたとしたら、該当社員を雇用し続けることが既存社員に対して悪影響を及ぼします。 会社が経歴詐称を容認していることに対する不信感などから、既存社員の仕事に対するモチベーションの低下や会社に対するエンゲージメントの低下などが起こり、社内の秩序が乱れてきます。  

コンプライアンス体制を疑われる

経歴詐称の社員を雇用し続けることで、社内だけではなく社外へも悪影響を与えます。 経歴詐称を容認していることが社外に知れ渡ると、コンプライアンス体制を疑われることもあるでしょう。顧客や取引先との信頼関係が崩れ、経営の悪化にも繋がる可能性があるので、何らかの対策が必要です。  

まとめ

経歴詐称を見抜く方法は様々ありますが、調査だけではなく詐称発覚後の対応なども含めて慎重に行わなければなりないので、最初からプロに依頼することをおすすめします。 経歴詐称を見抜くには、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックなどが効果的です。弊社、KCC(企業調査センター)は創業から20年に及ぶ歴史があり、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックを含めた調査実績においては業界でも類を見ないものとなっております。調査内容の信憑性、正確さ、独自の見解などどれをとってもお客様の期待以上の内容となっており、今もなお年間に5000件以上の調査のご依頼をいただいております。 また、弊社は探偵業の届け出をしているので、採用候補者の人間性について一歩踏み込んだ調査をすることが可能です。調査方法、取得情報については弁護士にすべてリーガルチェックを行ったうえで調査していることに加え、ISO27001を取得しているので情報セキュリティに関しても徹底した対策をとっております。年間2000件以上の雇用調査の依頼を受けており、SNS・実地調査の調査専門チームを社内に抱えているためスピーディーで正確な調査が可能です。 私たちには入手困難な情報や巧みに隠蔽された情報を引き出すノウハウと引き出された情報を分析するスキルがあるので、調査内容には絶対的な自信を持ってお客様に報告しています。中途採用で失敗したくない採用担当者様は、ぜひ私たちに一度ご相談ください。