経歴詐称で内定取り消し・解雇ができるケースとは?できない場合の対処法も解説!

こんにちは、KCC(企業調査センター)です。 KCCでは雇用調査や社内調査、取引先信用調査など企業の「人材」と「取引先」のトラブルを未然に防ぐためのあらゆる調査を行っております。 採用選考を有利に進めるために、採用候補者が経歴詐称を行うことは今に始まった話ではありません。そもそも採用選考で必要とされる履歴書や職務経歴書は本人の作成によるものなので、書かれていることが全て本当かどうかはわからないものです。残念なことに経歴詐称は軽微なものから重大なものまで意外と多くの候補者が行なっていることなので、会社としては何らかの対策をとらなければいけません。 万が一、採用候補者の経歴詐称を見抜くことができずに採用をしてしまったら、後々大問題となり会社の経営や既存社員にも悪影響を及ぼします。会社としては何とか内定前に詐称を見抜きたいところですが、内定を出した後に詐称が発覚してしまうこともあります。 そこで今回は、経歴詐称をしていた採用候補者に内定を出してしまったと時の対応として、内定取り消しや解雇ができるかどうか解説していきます。

経歴詐称で内定取り消しできるか?

内定取り消しができるケース

経歴詐称の内容によっては内定を取り消すことが可能です。ここでは、どのような経歴詐称が内定取り消しの対象となり得るのかご紹介します。

学歴・職歴を詐称していた

採用候補者が学歴や職歴などの経歴を詐称していた場合は、内定取り消しの要因として認められることが多いです。内定を出した時点で雇用契約が成立していることになるので、内定取り消し=解雇となりますが、解雇する理由が客観的・合理的、かつ社会通念上相当な理由に限っては解雇することができます。学歴や経歴詐称であればこれらの理由に該当するため、内定取り消しが認められる可能性は高いでしょう

犯罪歴・病歴を詐称していた

犯罪歴や病歴を詐称していた場合は、社会通念上相当の理由=解雇の理由に十分なり得るので、例え内定後であっても内定取り消しが可能となることが多いです。 しかし、犯罪の程度や病気の種類によっては、社会通念上相当の理由と認められないこともあるので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

内定取り消しができないケース

経歴詐称が発覚したとしても内定を取り消すことができない場合もあります。ここでは、内定取り消しができないケースを調査方法も含めてご紹介します。

不適切な調査を行った

経歴詐称を見抜く調査方法はいくつかありますが、実施に際して注意点がいくつかあるのでお伝えします。それは、調査を実施する前に採用候補者本人から同意を得る必要があることです。本人の許可なく調査を実施することは個人情報保護法の観点からNGとなっております。本人からの許可があることで、履歴書・職務経歴書に記載されている現職/前職へ在籍の事実、職務内容、在籍期間の確認を合法的に行うことができます。

経歴詐称の内容が業務に影響しない

例えば詐称していた項目が国籍や信条、障害などの場合、これらが業務に影響しないののであれば内定取り消しは不可能です。それどころか、これらの情報は要配慮個人情報に該当するので、調査自体が違法になる可能性が高いです。  

経歴詐称で解雇はできる?

既に従業員として雇っている社員を解雇させることは、詐称内容によっては可能ですが、こちらも弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。解雇に値するかどうかの根拠となる詐称の度合いや悪質性などについては、弁護士の見解によっても異なるので、慎重な判断が必要です。

経歴詐称で解雇できるケース

懲戒解雇が認められる経歴詐称は、学歴や犯罪歴、職務経歴などを偽り、その事実を知っていたなら採用しなかったであろう「重大な経歴詐称」をしていた場合です。

経歴詐称で解雇できないケース

経歴詐称をしていたからといって、必ずしも解雇ができるとは限りません。解雇が難しいケースとしては、就業規則に懲戒解雇事由の定めがなく、経歴詐称が解雇事由にあたるかどうかの判断ができない場合や、解雇が合理的理由を欠き社会通念上相当性を欠く場合には解雇権濫用にあたるので解雇ができません。 ただし、会社側から解雇できるかどうかというよりも、詐称が発覚したことを相手に伝えることで、本人がそれを認めて自ら退職するかどうかという問題もあります。伝え方次第ではありますが、弊社の経験では、このようなケースは退職を受け入れるケースがほとんどです。伝え方は重要なので、併せて弁護士に相談してみるとよいでしょう。

経歴詐称で内定取り消しも解雇もできない際の対応

経歴詐称が発覚したにもかかわらず、内定取り消しも解雇もできなかった場合に、何らかのペナルティを課そうと考えることもあるかもしれません。減給や降格、あるいは社内に公表するなどのペナルティが考えられますが、いずれもおすすめできません。会社の安易な判断でペナルティを課してしまうと、事を荒立てるどころか逆に違法性を問われる可能性もあるからです。何かしらのペナルティ(制約や条件)のもと雇用し続けるよりも、まずは穏便に解雇を目指す必要があります。 会社としては解雇したいのは山々ですが、相手が不当解雇を訴えそうな社員の場合は、他の解雇事由がないか調査し、決定的な解雇事由が発覚した時点で解雇を正当化することができます。このような込み入った調査は弁護士でも難しいので、専門の調査会社に依頼することをおすすめします。

経歴詐称の見抜き方

面接での質問

面接での質問のし方によって経歴詐称を見抜くことができます。あらかじめ職務経歴書などから違和感を感じる部分をピックアップしておき、面接の際にそれらを一つひとつ深掘りしていきましょう。特に成果や実績に関しては、具体的な数値なども含めて詳細な回答を求めると、詐称があった場合には回答に矛盾が出たり話の整合性がとれなくなったりするものです。あら探しをするような懐疑的な質問のし方ではなく、経歴についての興味から質問をするというスタンスで深堀りしていきましょう。

リファレンスチェック

リファレンスチェックとは企業が中途採用を行う際に、採用候補者の前職での能力・評価・信頼性などを第三者に問い合わせることを言います。リファレンスチェックではあらかじめ了承を得た第三者(元上司や元同僚)に準備された質問を行うというのが一般的な方法なので、引き出される情報も想定内に終わってしまうことも懸念されていますが、そこはプロの調査員が質問を行うので、用意された回答や表面的な受け答えでは通用しないようになっています。 経歴詐称は軽微なものも含めて詐称の種類も範囲も多岐にわたりますが、リファレンスチェックでは成果や実績の詐称など、線引きが曖昧で見破ることが難しい詐称を巧みな話術によって見破ることができます。 こちらの記事もお読み下さい!

【調査会社が教える】リファレンスチェックとは?バックグラウンドチェックと何が違うの?

 

経歴詐称者を入社させるリスク

社内の秩序の乱れ

経歴詐称のあった社員を雇用していることが社内に知られるようになると、既存社員は会社が経歴詐称を容認していると捉え、会社に対する不信感や不公平感を持つようになります。これらは既存社員の仕事に対するモチベーションにも影響し、社内の秩序が乱れるだけではなく会社の生産性も低下するでしょう。

コンプライアンス体制への不信感

経歴詐称のあった社員を雇用していることが社外にも知られるようになると、会社のコンプライアンス体制への不信感が生まれます。顧客や取引先との信頼関係が崩れることによって経営の悪化も招く可能性があります。

まとめ

経歴詐称は昔からあるものですが、近年はインターネットやSNSの普及により経歴詐称の内容や方法が複雑化しています。それゆえ経歴詐称を見破ることが難しく、入念な調査や面接をくぐり抜けて内定をもらってしまう人も一定数いるほどです。   企業としては、もし内定を出してしまった人が経歴詐称を行っていたとわかったら内定取り消しを考えるかもしれませんが、これまでお伝えしてきたように内定取り消しは容易なものではありません。それどころか場合によっては企業側が違法性を問われることになるので、弁護士などを交えて慎重に対策をとる必要があります。このようなことにならないように、経歴詐称は何としてでも内定前に見破ることが理想的でしょう。   経歴詐称を見抜くには、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックなどが効果的です。弊社、KCC(企業調査センター)は創業から20年に及ぶ歴史があり、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックを含めた調査実績においては業界でも類を見ないものとなっております。調査内容の信憑性、正確さ、独自の見解などどれをとってもお客様の期待以上の内容となっており、今もなお年間に5000件以上の調査のご依頼をいただいております。また、弊社は探偵業の届け出をしているので、採用候補者の人間性について一歩踏み込んだ調査をすることが可能です。調査方法、取得情報については弁護士にすべてリーガルチェックを行ったうえで調査していることに加え、ISO27001を取得しているので情報セキュリティに関しても徹底した対策をとっております。年間2000件以上の雇用調査の依頼を受けており、SNS・実地調査の調査専門チームを社内に抱えているためスピーディーで正確な調査が可能です。 私たちには入手困難な情報や巧みに隠蔽された情報を引き出すノウハウと引き出された情報を分析するスキルがあるので、調査内容には絶対的な自信を持ってお客様に報告しています。中途採用で失敗したくない採用担当者様は、ぜひ私たちに一度ご相談ください。