投稿日: 2024年1月9日 この記事では、人柄採用がもたらすメリットとデメリットを明確に解説します。新しい人材の発掘方法を探しているあなたの会社に、適切な採用戦略を提案します。 人柄採用とは 人柄採用は、候補者の技能や経歴を超えて、性格や個性を重視する採用手法です。企業は、応募者の素直さや意欲、ストレスに対する耐性、コミュニケーションスキル、将来の展望、礼儀やビジネスマナーなど、その人の内面的な資質に注目します。このアプローチでは、どの人間性の要素を最優先するかは、企業の文化や求める職種、ポジションによって異なります。このような採用方法は、チームの雰囲気や企業文化に合った人材を見つける上で大きな利点があります。 人柄採用のメリット・デメリット 人柄採用のメリットとデメリットについて、それぞれ解説していきます。 メリット 母集団を形成しやすい 人柄採用の大きな利点は、応募者層の幅を広げることです。経験や学歴ではなく、個性や性格を優先するため、より多様な応募者と出会えます。これは求職者にとっても魅力的で、実務経験がなくてもチャンスがあると感じさせます。特に中小企業では、優秀な人材を確保するのが困難な場合もありますが、人柄を前面に打ち出すことで多くの候補者を引き寄せることができるのです。 社風・人間関係のミスマッチを防げる 人柄採用を行うことで、社風や人間関係における不一致を防ぐことができます。この手法は、採用後の離職率を減らし、社員の定着を促進します。そのためには、理想の候補者像を具体的に定義し、経験やスキル以外にもその人の性格や価値観を考慮する必要があります。社員の人柄が企業文化にマッチするかどうかは、仕事への満足度やモチベーションに直接関わる重要な要素です。 組織力の向上につながる 人柄重視の採用が成功すると、熱意と成長意欲を持つ人材がチームに加わり、組織力が向上します。経験やスキルが未熟でも、意欲的な新人の存在はチームに新たな刺激をもたらし、全体の意識を高める効果があります。また、社内の文化や価値観にフィットする人材は、組織に対する強い愛着やエンゲージメントを生み出し、会社全体の活力を高めることが期待できます。 デメリット 見極めが困難である 人柄採用の大きな課題は、候補者の本質を見極める難しさにあります。履歴書や職務経歴書からは「人柄」を完全に把握することは難しく、面接という限られた時間では、候補者が本来の自分を十分に表現できないこともあります。面接官も、人柄を正確に評価するための適切な質問を見つけるのが難しいです。経験やスキルと異なり、人柄は明確な基準がなく、判断が曖昧になりがちです。 バイアスにより適切に評価できない可能性がある 人柄を評価する際は、認知バイアスが判断を歪めるリスクがあります。これは、直感や先入観により合理的な判断が難しくなる現象です。面接では、第一印象に基づく確証バイアス、自分と似た候補者に対する類似性バイアス、一部の特徴に引きずられるハロー効果やホーン効果、性別に関するジェンダーバイアス、他の候補者との比較によるコントラストバイアス、他の面接官の意見に影響される同調バイアスなどが生じる可能性があります。 教育コストが発生する 人柄を重視した採用では、経験やスキルの評価を下位に置くことが多いため、教育コストが必然的に発生します。中長期的な視点での育成が必要となるため、社内研修制度や適切な受け入れ態勢の整備が欠かせません。人柄が企業にマッチしても、その人材が企業の成果に貢献するまでには時間と資源が必要となります。 人柄採用における採用手法 人柄採用における採用手法をご紹介していきます。 リファラル採用 リファラル採用とは、現在の社員が推薦する人材を採用する方法です。この手法の強みは、推薦される候補者の人柄や性格が事前にわかる点にあります。推薦する社員は会社の文化を理解しているため、ミスマッチが起こりにくいです。しかし、リファラル採用にはリスクも伴います。推薦された人が不採用になると、社員間の関係が悪化する可能性や、会社への不信感を生じることがあります。また、多くの候補者を集めることは困難で、社員が自信を持って会社を推薦する環境づくりが不可欠です。 アルムナイ採用 アルムナイ採用は、以前に勤めていた従業員を再び採用する手法です。円満に退社したアルムナイ(卒業生)であれば、再び活躍の機会を提供できます。この方法では、両者が互いの人柄や企業文化を理解しているため、採用後のミスマッチが少なく、新規採用に比べて教育コストも削減できます。ただし、会社を離れた従業員が再び働きたいと思うかどうかがカギです。以前に不満を抱いて退職した従業員に対しては、このアプローチが適さない可能性があります。 ソーシャルリクルーティング(SNS採用) ソーシャルリクルーティングとは、Twitter、Instagram、Facebook、TikTokなどのSNSを活用した採用手法です。企業はSNSでの情報発信を通じて採用活動を行い、候補者の投稿から性格や価値観を把握し、興味を持った人材に直接アプローチが可能です。SNSでは個人の本性や関心事が表れるため、面接では見えにくい側面を把握するのに適しています。また、適さない候補者を事前に判別するのにも役立ちます。 インターンシップ インターンシップは、人柄を見極めるのに有効な手法です。一般的に学生が参加するイメージがありますが、近年は社会人も参加するインターンシップが増えています。これらは週末に実施されることが多く、副業としての側面も持ち合わせています。インターンシップは、就業中の様子や人柄を直接観察できる点で優れていますが、準備や調整には手間がかかります。企業は実施の実現可能性を慎重に検討する必要があります。 採用ミートアップ 採用ミートアップは、採用を目的とした小規模な交流会です。これは、会社説明会よりもカジュアルな雰囲気で行われ、参加しやすい環境を提供します。採用ミートアップは、会社を知ってもらう機会であり、候補者の人柄を深く理解する絶好のチャンスです。さらに、オンラインでの開催も可能で、時間や場所に縛られずに実施できるため、効率的に候補者と接触することができます。 適性検査の実施 適性検査の導入は、人柄重視採用を強化する一手段です。適性検査には「SPI3」、「玉手箱」、「GAB」など様々な種類があり、それぞれ候補者の性格特性や適性を評価します。これらのテストを通じて、企業は候補者の人間性や職務適合度をより深く理解できます。しかし、適性検査は個人の全体像を把握するものではなく、あくまで採用プロセスの一部として活用することが重要です。 採用で人柄を見極める3つのポイント 採用で人柄を見極める3つのポイントをお伝えします。 採用基準を明確にする 採用面接で最も大切なことの一つは、採用基準の明確化です。会社としてどのような人物を求めているのか、具体的なイメージを持つことが重要です。これには、候補者が入社後にどのような役割を果たすかを予測し、求める人物像に基づいて評価基準を設定することが含まれます。明確な基準を持つことで、採用プロセスがスムーズに進行し、適切な人材を見極めることが可能になります。 自己開示を適宜行う 自己開示とは、面接中に面接官が自らの経験や考えを話すことです。適切に自己開示を行うことで、面接の雰囲気が和らぎ、応募者がリラックスして本来の自分を表現しやすくなります。また、企業文化や職場環境についての具体的な情報を提供することで、応募者にとっても自社が適切な職場かどうかを判断する手助けになります。対話型のコミュニケーションを促進し、より深い人間性の理解に繋がります。 オープンクエスチョンを活用する オープンクエスチョンとは、具体的な答えがなく、応募者の考えや感情を引き出すための質問です。これにより、応募者の思考過程、価値観、対人関係における姿勢などが明らかになります。たとえば、「困難な状況をどのように乗り越えましたか?」や「新しいプロジェクトを始める際、どのように計画を立てますか?」など、回答には多様なアプローチが可能です。オープンクエスチョンを活用することで、応募者の深層心理や人柄をより詳細に理解することができます。 人柄採用の注意点 人柄採用の注意点をお伝えします。 応募者の不満を買うリスクがある 人柄採用を宣言している企業に対して、応募者からの不満の声が上がることがあります。例えば、「人柄重視の面接を期待していたが、実際は経験やスキルに関する質問ばかりだった」といったケースです。また、「人柄重視と謳っているにも関わらず、書類選考で落とされた」と感じる応募者もいます。これらのギャップから、候補者が企業に対して不信感を抱くリスクがあります。採用プロセス全体で、宣言した人柄重視の姿勢を貫くことが求められます。 企業のイメージダウンにつながる可能性がある 「人物重視採用」を掲げる企業は、時に否定的なイメージを受けるリスクがあります。一部の求職者は、人物重視採用を採用難や定着率の低さの兆候と捉えることがあります。さらに、人物重視が「ブラック企業」の特徴と考える人もいます。企業は、採用方針を明確にし、その理由と企業文化を適切に伝えることで、誤解を避ける努力が必要です。 面接で演技される可能性がある 人柄を見極める採用面接では、候補者が望ましい人物像に合わせて演技することがあります。このような状況は、入社後のミスマッチを引き起こす可能性が高くなります。採用側としては、質問の選択が重要です。理念やカルチャーへの共感を確認する質問に対し、応募者は「いいえ」と答えにくいため、質問の内容を工夫し、診断ツールと併用して多角的に評価することが効果的です。 人柄採用でおすすめの2つの調査とは 人柄採用でおすすめの2つの調査をご紹介します。 リファレンスチェック リファレンスチェックは、応募者が以前勤務していた職場の同僚や上司に連絡を取り、その人物の職務態度や周囲の評価を確認するプロセスです。これは、応募者が自社に適合するかどうかを判断する重要な手段です。リファレンスチェックでは、応募者がヒアリングの対象者を指定します。企業は調査の目的と内容を明確にして応募者の承諾を得た後、対象者の指定を受けます。この方法は、応募者にとって前職の同僚からの支持を得るチャンスであり、企業側にとっては書類選考や面接だけでは把握できない情報を得る手段となります。 バックグラウンドチェック バックグラウンドチェックは、応募者が提供した経歴の真実性を確認するための調査です。応募者が提出する書類や面接での説明が正確であるかを検証するため、関連書類の提示を求めたり、経歴の事実を知っていると考えられる人物に連絡を取ることがあります。虚偽の経歴を提供している応募者を採用すると、企業に不利益をもたらすリスクがあるため、このプロセスは重要です。バックグラウンドチェックにより、応募者の信頼性を確認し、適切な採用決定を支援します。 まとめ【人柄採用をするなら採用前の調査がおすすめ】 人柄採用には、チームの雰囲気に合う人材を見つけられるというメリットがありますが、面接だけでは人柄を完全には把握できないというデメリットも存在します。このギャップを埋めるため、採用前の調査が非常に有効です。そこでおすすめなのが、企業調査センターです。企業調査センターを利用することで、応募者の過去の職場での振る舞いやパフォーマンス、ストレスへの対応能力などを詳細に調査できます。このセンターは、リファレンスチェックなど様々な手段を活用し、面接では見えにくい情報を補足してくれます。豊富な経験と専門知識を有し、個人情報の取り扱いにも細心の注意を払いながら、信頼できる情報を提供しているので、人柄採用におけるリスクを軽減するのに役立ちます。人柄採用をするなら、企業調査センターにご相談ください。 候補者との社風や同僚との相性を診断するサービス『知っトク』 採用時に社風や同僚と相性を見誤ると早期に辞めてしまう・・・。 採用者と会社のミスマッチを少なくできれば、早期離職を防げると思いませんか? Jobポテンシャル診断「知っトク」は、20問の心理テストで31パターンの性格タイプを診断。 性格タイプ別の質問で、社風や同僚との相性を「知る」ためのサービスです。