採用基準の決め方とは?決めるべき理由や3つの注意点も解説!

企業が成長するためには、適切な人材を採用することが不可欠です。しかし、採用基準の決め方は多くの経営者や人事担当者にとって共通の課題です。この記事では、採用基準の決め方とその重要性、さらに注意すべき3つのポイントを詳しく解説します。

採用基準を決めるべき理由

採用基準を決めるべき理由をお伝えします。

客観的かつ公平に選考するため

選考過程において、面接官の個人的な見解が影響を及ぼすリスクは避けられません。例えば、異なる面接官が同一応募者に対して別々の評価を下すことは珍しくありません。このような場合、どちらの評価が妥当か判断するのが難しくなります。採用基準が存在すると、判断の基軸が明確になり、面接官が誰であろうと一貫した客観的かつ公平な評価が可能になります。これにより、公正な採用を実現するための重要な役割を果たします。

入社後のミスマッチを予防するため

採用基準が明確であれば、応募者が自社の業務に適したスキルや経験を有しているか、また社風に適合するかを判断しやすくなります。不明確な基準のもとでは、たとえば学歴や職歴のみを重視した採用を行いがちですが、これでは職場環境に適応できず早期に退職する社員が生じるリスクが高まります。その結果、自社に合わない人材の継続的な採用に陥りかねません。このような状況を避けるため、適切な採用基準の設定が不可欠です。

合否の判断をスムーズに行うため

一貫した採用基準がない場合、面接官ごとに意見が分かれることが多く、合否の決定が困難になることがあります。面接官によっては全く異なる見解を持つこともあるため、迅速な判断が難しくなります。一方、統一された採用基準を設けることで、面接官間の意見のばらつきを最小限に抑え、効率的な合否判断を行うことが可能となります。これは採用プロセスの迅速化に大きく貢献します。

採用基準の決め方

採用基準の決め方について解説していきます。

就活・転職市場のトレンドを調査する

採用基準は、時代の流れや対象層の価値観と合致していなければなりません。例えば、仕事よりプライベートを重視する傾向にある20代を対象にする場合、「仕事優先」「ノルマ至上主義」のような基準は適していません。また、業界や職種によって求人の状況は異なります。人手不足が顕著な分野で古い採用基準を適用すると、欠員補充の困難さや事業への悪影響が懸念されます。このような現状を踏まえ、適切な採用基準の設定が必要です。

業務に必要なスキルを洗い出す

効果的な採用を実現するためには、業務で必要とされるスキルや資格を明確にすることが重要です。これを行うには、現場の社員や該当部署の管理職にヒアリングを行い、必要な条件を洗い出すことが欠かせません。スキルや資格が不足している応募者を採用すると、入社後にミスマッチが発生し早期退職につながる可能性が高まります。関係者の時間と労力を無駄にしないためにも、明確な必須条件の設定と共有が必須です。

優秀な社員のコンピテンシーを把握する

優秀な社員の特性を理解し、それを基に「コンピテンシーモデル」を構築することは、効果的な採用基準を設定する上で重要です。まず、高いパフォーマンスを示している社員を選び、その行動特性や考え方をヒアリングして把握します。これらの情報を元に、企業の成功に貢献する行動や思考パターンをコンピテンシーモデルに組み込みます。理想の社員像が明確でない場合は、求める人物像を基にこれらの要素を定義します。

基準の優先順位を決める

採用基準を設定する際には、それぞれの条件に優先順位をつけることが重要です。必要条件と十分条件を分け、基準が不必要に厳格になりすぎないよう調整します。これにより、応募者の評価が接近している場合においても、合格者を適切に選定するための判断材料となります。条件を絞ることで、採用基準の効率性と効果性を高めることが可能になります。基準が適切に設定されていれば、選考プロセスがスムーズに進行し、優秀な人材を見極めやすくなります。

求める人物像を設定する

採用基準を確定する前に、その基準が企業が求める人材要件と矛盾していないかを確認することが不可欠です。人材要件は採用の土台となる人物像であり、採用基準はこの人物像を選別するフィルターのように機能します。合否の判断が一貫性を保つためにも、設定した人材像と採用基準の間に矛盾がないか慎重にチェックする必要があります。こうすることで、選考プロセス全体の整合性と効果性を保つことができます。

選考フローの評価項目に落とし込む

採用プロセスの各段階で適用する評価基準を明確に決定することが大切です。書類選考から筆記試験、一次面接から最終面接に至るまで、各ステップで求める要件を特定します。例えば、コミュニケーション能力などの特定の項目を面接の段階で重視することも有効です。また、選考の進行に伴ってより高度な基準を適用するよう段階を設けることで、選考プロセスの質を向上させることが可能です。このように段階ごとに基準を設定することで、選考の効率性と精度を高めることができます。

採用基準の事例

採用基準の設定は、企業のニーズと応募者の適性を見極めるために重要です。経理職の採用基準を例に挙げましょう。 【書類選考】では、基本的な資格や経験が重視されます。例えば、大学卒業以上、会計や経理の実務経験が1年以上あること、日商簿記3級保持、普通自動車免許の取得が必須条件です。さらに、管理会計や決算の経験、経理実務経験3年以上、日商簿記2級以上の取得、税理士資格があれば歓迎されます。 【筆記試験】では、特定の得点基準を設け、それぞれの分野で最低点数を満たす必要があります。合計点だけでなく、各分野の最低点数もクリアすることが求められます。 【面接】では、応募者の志望動機の明確さ、一貫性のある話し方、業務に関する具体的な工夫や改善案を述べる能力が評価されます。内容が矛盾しないこと、過去の経験を基に説明できることが重要です。 【最終面接】では、志望動機のさらなる深堀り、論理的な回答能力、企業でのキャリア形成に対する具体的な見通しや希望、企業の事業領域に関する知識が評価されます。 これらの条件を設けることで、応募者の能力と適性を明確に評価し、採用の判断を行いやすくなります。条件は具体的で「可・不可」の判断が容易なものにし、コンピテンシーモデルとの比較ができるような設問を用意することが望ましいです。

採用基準の設定における3つの注意点

採用基準の設定における3つの注意点について解説していきます。

新卒と中途で採用基準を変える

新卒者の採用では、実務経験の不足を考慮し、応募者の人柄や思考パターンを重視する基準が有効です。人柄が自社の文化と合致するかどうかを見極めることで、早期退職のリスクを減らすことができます。一方、中途採用では即戦力となる人材を求める傾向が強いため、技能や経験に着目した基準を設定します。例えば、エンジニアの場合は「アジャイル開発手法の経験者」、営業職では「海外営業の経験者」など、職種ごとに具体的な要件を設けることが効果的です。

採用基準に含めてはいけない要素を把握する

採用基準を設定する際は、適性や能力に無関係な要素の排除に注意を払う必要があります。特に、「本人に責任のない事項」や「本来自由であるべき事項」は、就職差別につながるリスクがあります。また、身元調査や合理的な根拠がない健康診断などは、不必要な個人情報を含むことがあり、これも就職差別に繋がる可能性があります。採用基準は公平性と透明性を保つことが重要で、違法な差別につながる要素は避けるべきです。

カルチャーフィットも考慮する

採用基準の設定において、カルチャーフィットの重要性は無視できません。カルチャーフィットとは、応募者が企業文化やチームの雰囲気に適合するかどうかを意味します。採用された社員が企業文化に溶け込み、長期的に貢献するためには、仕事のスキルだけでなく、価値観や仕事に対するアプローチが企業の理念や文化と合致することが重要です。したがって、技能や経験と同様に、応募者の価値観や性格が企業文化と調和するかどうかを考慮することが求められます。

採用基準の見直しが必要な3つのケース

以下のケースに当てはまる場合は、採用基準を見直したほうがいいでしょう。

書類選考の通過率が低い

多数の応募があるにもかかわらず書類選考で多くの応募者を落としている場合、採用基準を見直す必要があります。この状況は、採用基準が過度に厳しいか、要求項目が多すぎることが原因かもしれません。効果的な書類選考を行うためには、採用基準を「絶対必要な条件(MUST)」と「望ましいが必須ではない条件(WANT)」に分類することが重要です。この分類を適用することで、より多くの適切な候補者を選出することが可能になります。

応募数が少ない

応募数が非常に少ない場合、設定された採用基準が現実的でない、または提供される給与に対して条件が高すぎる可能性があります。多くの条件を設定しすぎると、応募者が応募をためらう原因になることがあります。この問題を解決するためには、採用基準と募集要項を見直し、条件を「必須条件」と「歓迎条件」に分けることが効果的です。これにより、より多くの応募者が自分自身を応募条件に適合していると感じる可能性が高まります。

現場と人事の基準が乖離している

現場の社員と採用担当者の間で意見が一致しない場合、採用基準の不明瞭さが原因の一つと考えられます。特に、「コミュニケーション能力が高い」のような抽象的な基準は、評価の一貫性を損なう原因になります。より具体的な基準、例えば「ロジカルに話すことができる」「相手の話を深く理解する」などを設定することが重要です。採用基準の見直しには、現場の意見を取り入れ、具体性を高めることが求められます。このアプローチにより、採用プロセス全体の効果性と効率性を向上させることが可能です。

採用基準以外に活躍人材を採用する2つの方法

採用基準以外に活躍人材を採用する2つの方法をご紹介します。

リファレンスチェック

リファレンスチェックは、応募者の過去の勤務態度や人間関係を理解するために、以前の職場の同僚や上司に連絡を取るプロセスです。この方法では、応募者が自ら推薦してくれる人物を指名できるため、企業は応募者の社内での適応能力や人間性について、より深く理解することができます。企業はこの情報を使って、応募者が自社の文化やチームに合うかどうかを判断します。また、応募者にとっても、以前の職場の同僚や上司からの推薦を得ることで、自己アピールの機会を増やすことができます。リファレンスチェックは、面接や書類選考だけでは得られない貴重な情報を提供するため、両者にとって有益な手段です。

バックグラウンドチェック

バックグラウンドチェックは、応募者が提出した経歴情報の正確性を確認するための調査です。応募者が面接や書類選考で提供する情報が真実かどうかは、本人にしか分からない場合が多く、虚偽の情報を提供する応募者も存在します。不正確な経歴情報に基づいて採用を行うと、後に企業に不利益をもたらす可能性があります。バックグラウンドチェックでは、応募書類に記載された内容を証明するための追加書類の提示を求めることがあります。また、応募者の過去を知る人物に連絡を取り、事実関係を確認することも一般的です。このような調査により、企業は応募者の信頼性を保証し、より適切な採用判断を下すことが可能になります。

まとめ【選考では採用基準を決めるのが重要!】

採用選考プロセスにおいて、適切な採用基準の設定は企業の成功に不可欠です。この基準は、求める人材像を明確にし、効率的かつ公正な採用を実現するための土台となります。特に中途採用では、面接だけでは把握できない応募者の能力や適性を知るために、企業調査センターのような専門機関が行うリファレンスチェックやバックグラウンド調査が重要です。これらの調査により、応募者の過去の職場での実績やストレスへの耐性を詳細に理解できます。企業調査センターは、多様な手法を駆使して確かな情報を収集し、採用プロセスを支援します。個人情報の取り扱いにも細心の注意を払いながら、企業にとって価値ある情報を提供することで、より効果的な人材採用が可能となります。人材採用で困ったときは、企業調査センターにご相談ください。