学歴詐称の調べ方とは?学歴詐称の具体例や発覚した際の対応を解説

こんにちは、KCC(企業調査センター)です。KCCでは雇用調査や社内調査、取引先信用調査などの企業に関わるトラブルを防ぐための調査を行っております。 採用を検討する際に気を付けなければいけないのが学歴詐称です。学歴詐称に気づけないと、入社後にトラブルになってしまう可能性もあります。詐称を見抜くには具体例や調査の仕方についても知っておく必要があります。そこで今回の記事では、学歴詐称の調べ方や対応の仕方について詳しくご紹介します。

学歴詐称は犯罪?

結論、学歴詐称は犯罪になるケースがあります。ここでは、どのような犯罪に該当するのかを解説します。

私文書偽造罪

学歴詐称の中で私文書偽造罪に当たる事例で多いのが、卒業証明書の偽造です。そもそも、私文書偽造罪とは許可なく他人名義で事実や権利を詐称し、証明書を偽造することです。免許証等の公文書を偽造する「公文書偽造罪」と卒業証明書や資格の所得証明書等を偽造する「私文書偽造罪」の2種類があり、学歴詐称では私文書偽造罪になることが多いです。

詐欺罪

詐欺罪とは人を騙して財物を取ろうとするなどの行為です。具体的には、金銭搾取の目的で学歴詐称した場合や、医師や弁護士などの高度な資格を詐称した場合が当たります。特に学歴を詐称して入社し、給与を受け取った場合は詐欺罪になります。詐欺罪は「10年以下の懲役」ですのでかなり重い量刑になることもあります。判決年数が3年未満の場合は執行猶予付きなこともありますが、詐欺の内容によっては初犯でも実刑になるケースがあります。

軽犯罪

軽犯罪とは日常生活の秩序に反する行為のことを言います。軽犯罪法1条15号では、学歴詐称に関する規定があります。学位を詐称したり、公務員などの官公職であるなどと偽ったりした場合がこの軽犯罪の対象です。法定刑は「拘留又は科料」で、情状によっては刑が免除されることもありますが、逮捕されるリスクはもちろんゼロではありません。

学歴詐称の具体例

大学・学部を偽る

学歴詐称で多い事例が、出身大学や学部の詐称です。本当は卒業していない大学を申告したり、大学名は本当でも通っていない学部を申告していたりすることがあります。偏差値が高い大学や学部に偽って就職を有利に進めたいという動機が多いようです。

高卒を大卒と偽る

就職を有利に進めるために高卒なのに大卒だと偽るケースも多いです。やはり志望職種によっては大卒の方が就職がスムーズに進むこともあり、大卒だと詐称するのでしょう。大卒が採用条件に入っている場合や、学歴を高く見せて高い報酬を得たい場合などに行われやすい学歴詐称です。

科目履修生・聴講生を正規生と偽る

科目履修生や聴講生なのに正規生と偽ることも犯罪です。大学は卒業し学士号を取らないと「卒業」と記載することはできません。科目履修生や聴講生等は学位取得を目的としない受講ですので、正規生を偽ると学歴詐称になります。

中退したことを隠ぺいする

中退しているにもかかわらず、企業からの目を気にして「卒業」と偽ることがあります。実際に卒業したわけではないのに、卒業したと申告するのは犯罪です。実際に入学した大学名は本当でも、卒業していないことがあります。

入学・卒業した年度を偽る

浪人や留年の事実を隠すために、入学や卒業年度を偽ることがあります。本当の大学名や学部学科を申告しきちんと卒業していたとしても、その年度が正しくなければそれは学歴詐称です。

除籍・放校を中退や退学と偽る

留年上限などの原因で除籍や放校されたにも関わらず、それらを隠すために中退や退学と偽ることがあります。除籍や放校は、自分の意志で行う中退や退学と異なるので就職活動で不利にならないように詐称するケースがあります。

実際よりも低く学歴を申告する(逆学歴詐称)

学歴を実際よりも高く詐称することも多いのですが、実は実際よりも低く申告するケースもあります。大卒の採用試験よりも高卒限定の求人の方が採用されやすいケースもあり、特に就職難などの不況で起こりやすい詐称です。また、実際は大学院卒なのに大卒だと偽り、採用のハードルを下げようとすることもあります。

学歴詐称の調べ方

卒業証明書を提出してもらう

履歴書だけでなく、卒業証明書を提出してもらうことで学校名や卒業年度などの詐称を見抜くことができます。新卒で卒業前であっても、卒業見込みとして教育機関から証明書を発行してもらうことが可能です。卒業証明書を詐称される可能性もありますが、その場合は上記の通り私文書偽造罪に当たります。疑わしい場合は学校機関に確認することもおすすめです。

面接での質問で見抜く

書類だけでは見抜けなくても、面接で実際に質問してみると学歴詐称を見抜けるケースもあります。質問の内容によって答えられなかったり、回答を濁したりした場合は学歴詐称をしている可能性も考えられます。求職者は質問されなかった内容について答える必要はもちろんありませんから、経歴に関する質問をきちんと行うことが大切です。

リファレンスチェックを実施する

上司や同僚、教授や友人などの求職者の周りの第三者などからヒアリングすることをリファレンスチェックと言います。基本的には求職者の同意を得て、オンラインサービスや調査会社を使って実施します。リファレンスチェックは客観的な判断をしやすくなるのが特徴です。また学歴詐称を見抜くためだけなく、ミスマッチを防いだり選考を効率化したりするために行われることもあります。

バックグラウンドチェックを実施する

学歴詐称を見抜く手段として有効な方法の1つがバックグラウンドチェックです。バックグラウンドチェックでは、採用前に調査会社などが身元調査を行います。基本的には企業から求職者へバックグラウンドチェックを行う旨を伝えます。ただし、コンプライアンス体制が整っている調査会社に依頼しないと個人情報保護法等に抵触する恐れがあるので注意が必要です。

学歴詐称に気づいたときの対応

入社前に気づいたケース

入社前かつ内定前に気付いた場合は、余程の理由がない限りは採用を見送るほうが良いでしょう。ただし、内定後であれば注意が必要です。詳しくは次でご説明するのですが、法律上で内定は「就労始期付解約権留保付労働契約」とされています。つまり、内定取り消しは解雇と同様になりますので、取り消しの判断を慎重に行わなければいけません。

内定・入社後に学歴詐称に気づいたケース

内定後や入社後に学歴詐称が判明した場合は、就業規則に基づく処分を検討します。懲戒処分には減給や出勤停止、懲戒解雇等もありますが、懲戒解雇に当たるのは重大な経歴詐称のみです。そのため必ずしも解雇できるわけではなく、自主退職を勧めることも多いです。 経歴詐称による解雇・内定取り消しについては、以下の記事もご覧ください。 https://kigyou-cyousa-center.co.jp/2023/01/31/career-falsification-job-offer-cancellation/  

学歴詐称の他に経歴を詐称している可能性もある

学歴詐称だけでなく、他の経歴を詐称している可能性もあることを忘れてはいけません。経歴詐称の具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。 ・職務経験や経験年数の詐称 ・退職した日の詐称 ・前の会社での懲戒処分などの隠ぺい ・前職の年収額の詐称 ・犯罪歴の詐称 ・非正規雇用なのか正規雇用なのかを詐称 特に中途採用の場合に多いのが職歴を詐称していたケースです。他にも、前の会社を短期間で辞めたことを隠すために退職した日を詐称することもあります。経歴詐称を見抜けないと希望の人材が採用できないというリスクがありますので、注意が必要です。 経歴詐称の見抜き方については、以下の記事もご覧ください。 https://kigyou-cyousa-center.co.jp/2023/01/31/career-falsification-detect/  

まとめ

今回は学歴詐称を見抜くための方法をいくつかご紹介しました。しかし学歴だけでなく経歴の詐称発見や、発見した後の対応までを企業内で行うことはとても大変です。そのためこのような調査は、最初からプロに依頼することもおすすめです。 KKC(企業調査センター)では創業から20年、信頼と実績を重ねてきました。年間5000件以上のご依頼を頂いており、リファレンスチェックやバックグラウンドチェックも数多く行っています。探偵業の届出をしているので踏み込んだ調査が可能です。またISO27001の取得による情報セキュリティへの徹底的な対策も行っています。 調査の信憑性、正確さや調査の独自見解はお客様の期待以上です。私たちにしかない独自のスキルで調査内容に自信をもって報告しています。採用の際に失敗したくない企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。