モンスター社員(問題社員)の6つの特徴とは?対応方法や注意点まで解説

モンスター社員とは、問題行動や能力不足で企業に悪影響を及ぼす社員のことです。それぞれに適切な対処が必要ですが、特に酷い場合は、解雇や退職勧奨などを検討することもあるでしょう。今回はそんなモンスター社員について、その特徴や対応策、採用段階での見抜き方などを詳しく解説します。

モンスター社員(問題社員)の6つの特徴とは

社会人としてのモラルが低い

社会人として当然守るべきモラルやルールを守れないのは、モンスター社員の特徴です。遅刻や欠勤などの問題行動が多かったりするだけでなく、機密情報などを家族や友人などに共有してしまったり、会社の会議室を私用で利用してしまったりと、会社の信頼や業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。

業務命令に背く

上司の指示に従わないのもモンスター社員の特徴です。特に正当な理由がないにも関わらず、業務命令に意図的に従わない場合はより悪質です。このような社員を放置すると、組織の規律が乱れる可能性があるため、早急な対応が必要です。

ハラスメントを行う

パワハラやセクハラなどのハラスメントを行う人もモンスター社員に当てはまります。ハラスメントには被害者がいることを忘れてはいけません。企業の運営に影響を及ぼすだけでなく、他の従業員の心身に大きなダメージを与える深刻な問題です。   また、逆パワハラという部下が上司に対してパワハラを行う事例もあります。上司の適切な指導にも過剰に反応し、厳しい言葉や侮辱を浴びせるケースが典型的です。こうした状況を無視すれば、上司が萎縮し、組織の指揮系統が乱れる恐れがあります。

素行・私生活に問題がある

一部のモンスター社員は、プライベートにまで問題があるケースもあります。プライベートは仕事に関係ないようにも思えますが、実は関係者(債権者や不倫の被害者など)が会社に連絡するなどの可能性もあります。特に社員同士の不倫関係等が明るみに出ると、会社としての対応が必要になります。

能力が不足している

ミスを連発する、仕事の効率が悪い等の特徴が当てはまる人もモンスター社員です。悪気があるわけではなく、本人にとっても能力不足がストレスの原因となっていることもあります。しかし、放置すれば、優秀な社員のモチベーション低下に繋がる恐れがありますので、対策が必要です。

協調性がない

このタイプは優秀な社員にも見られ、個人の能力が高くとも協調性に欠けているせいで周りを困らせてしまいます。チームとしての成果が求められる会社では、協調性に欠ける社員は結果として全体の生産性を下げることとなります。

企業がモンスター社員を抱える3つのリスク

人材流出リスク

モンスター社員の言動や態度によって、チームの秩序が乱れてモチベーションが下がったり、周囲の社員の心身に影響がでたりすることで、退職に繋がってしまう恐れがあります。特に優秀な人材は不満のある職場に留まる強い理由がないため、優秀な人から退職してしまう可能性があります。

訴訟リスク

自己中心的なモンスター社員が、自分の意のままに仕事ができないなどの不満をためた結果、訴訟に発展してしまったり、解雇に関して訴えられたりする恐れがあります。労働法は労働者に有利ですので、適切な対応をしなければ敗訴する可能性も十分考えられます。このような訴訟が公になると、会社のイメージも下がりますので会社にとってデメリットが多くなります。

顧客へ迷惑がかかるリスク

モンスター社員は社内だけでなく、顧客にまで迷惑をかける恐れがあります。例えば、業務の遅延やミス、クレームやトラブルの発生など、モンスター社員の言動が原因で顧客からの信頼を損ねてしまう可能性も考えられます。

モンスター社員が生まれる2つの原因

本人の性格・能力

モンスター社員の問題行動の大部分は、主に個々の性格や能力が原因である場合が多いです。自己中心的であったり、無責任、傲慢であったりする性格は会社内の人間関係に悪い影響を及ぼします。また、注意散漫や業務処理能力の低さなどは仕事のパフォーマンスに影響を与えるため、会社が期待する成果を出せないことに繋がります。

教育指導が不十分

会社の教育指導が不十分なため、モンスター社員になってしまうという可能性も考えられます。社員側の問題も大きいですが、十分な教育指導によって問題行動の程度を軽減することはできる場合もあります。

モンスター社員への4つの対応方法

教育指導を徹底する

指導は口頭で行われることが多いですが、問題の程度が大きい場合は書面で指導することも必要です。本人や関係者から話を聞いて事実確認を行ったうえで、書面に残します。解雇することになった場合も、解雇せざるを得ない証拠として使えますので、裁判所に提出する可能性も踏まえて作成しましょう。本人の署名をもらっておくことも後のトラブルを防ぐのに効果的です。

指導の記録を残しておく

さらに指導の記録として、指導記録表を作成しておくことも重要です。モンスター社員を解雇した後、万が一裁判に発展した場合に会社に有利な証拠となりやすいからです。 指導記録表のポイントは、実際に業務指導や注意を行った上司等が、行為態様と業務に与えた影響を詳細に記載することです。また、社内手続きが適正であることを証明するために人事部長や社長などの上位者に確認してもらうようにしましょう。

問題行動は注意処分する

注意処分は、指導しても改善が見られない場合や、一定以上の問題行動を起こしたときに注意書を作成・交付します。今後改善が見られない場合は、解雇も含めた対応を行うことを明記し、さらに裁判所に提出する可能性も踏まえて作成することが大切です。

悪質な問題行動には懲戒処分を行う

ハラスメント行為や無断欠勤などのより酷い問題行為の場合は、懲戒処分を検討することになるかと思います。ただし、譴責、戒告、停職、減給等の処分等も検討したうえで、他に方法がない場合に懲戒処分を行います。その際は関係者からヒアリングもしたうえで懲戒処分の内容を明確にし、記録を残しておくことが大切です。

モンスター社員への対応における3つの注意点

問題社員の行動・言動を記録しておく

モンスター社員の言動や対応のなかで、特に重要なことについては記録に残しておくことが大切です。モンスター社員がそもそも事実を認めず、言った、言わないの争いになってしまう可能性があるからです。

客観的な事実をもとに指導する

モンスター社員を指導する際は、「……という指示に従わなかった」「会議で提案がない」などの客観的な事実をもとに指導することが大切です。相手の反発を買ってトラブルになる可能性があるため、「協調性がない」、「性格が暗い」などの主観的なことを批判するのは避けた方がよいです。評価よりも事実を伝えて指導するようにしましょう。

社員に録音されている可能性がある

現在多くの人が所持しているスマートフォンにはボイスメモなどの録音機能が搭載されているものが多くあります。そのため、面接の際に経営者や人事担当者の発言が録音されている可能性も大いに考えられます。裁判等で録音内容を証拠に「暴言を受けた」などと訴えられないよう、どんなにモンスター社員だとしても冷静な対応が必要です。

モンスター社員を辞めさせることはできる?

解雇

結論から申し上げますと、解雇はよほどの事情がない限り難しいです。解雇するためには、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」の2つの要件を満たさなければいけません。これらを踏まえたうえで、解雇が認められるか否かは専門家でも判断が難しいです。さらに、法律上解雇が認められたとしても、解雇された労働者が不当解雇だと訴えた場合、裁判で争うことになるので会社の負担が大きくなります。

合意退職

自主退職しない労働者に対して説得し、会社と労働者が退職について合意できれば「合意退職」となります。ほとんどの場合、退職の際に解決金などの得点を労働者側に提供します。解雇と比べて訴訟リスクが低く会社側にもメリットのある退職方法です。ただし、万が一のトラブルを防ぐためにも、法的に有効な合意書を弁護士に作成してもらうことが大切です。

補足:退職勧奨は違法か?

通常の退職勧奨は違法ではありません。合意退職において、会社から労働者に対して退職するよう説得する行為を退職勧奨と言いますが、その行為や退職金の割り増しに差をつけることなども使用者の最良の範囲だと考えられています。 しかし、執拗な退職勧奨は退職強要、又は公序良俗違反として違法となる場合がありますので注意が必要です。

モンスター社員を採用時に見抜く4つの方法

経歴・転職回数をチェックする

経歴や転職回数も、モンスター社員を見抜くための重要なポイントです。たとえば、3年以内に3回以上の転職などの多くの転職をしている場合は、職場適応に難があったり、仕事への向き不向きなどの問題を抱えている可能性があります。経歴をしっかりとチェックしたうえで、面接時の質問での見極めが必要です。

面接時の態度をチェックする

書類提出に不備があったり、面接官の質問に答えられなかったり、自己主張が激しかったりなどの、違和感のある言動には注意が必要です。モンスター社員は、自己中心的で協調性に欠けていたりする場合が多いため、これらの性質に当てはまっていないか慎重に評価する必要があります。

可能な限り先入観を排除する

経歴が輝かしい候補者だとしても、モンスター社員になるリスクはあります。可能な限り先入観を持たずに見極めることが大切です。学歴や職歴は優秀だとしても、人間関係の構築が苦手だったり、業績が優れなかったりする可能性もあります。

適性テスト等を実施する

適性テストや性格テストなども、候補者を見極める方法のひとつとしておすすめです。自己主張や協調性などの傾向が明らかになることで、モンスター社員のリスクを早期に発見できます。

モンスター社員をより正確に見抜く2つの方法

リファレンスチェック

リファレンスチェックとは、過去に一緒に働いていた人物などにコンタクトを取り、候補者の信頼性や適性を確認するための手法です。応募者の承諾を得たうえで前の職場の上司や同僚から話を聞きます。企業から見ると書類や面接だけでは知れない情報を確認でき、候補者からは前の職場の知り合いからのバックアップを受けられますので、双方にメリットがある方法だと言えるでしょう。

バックグラウンドチェック

バックグラウンドチェックとは、候補者から提供された経歴に関する情報が事実かどうか裏付けをとるための調査です。万が一虚偽の経歴を提出した候補者を採用してしまうと、後のトラブルにもつながります。具体的には、卒業証明書などの証明書の提出を求めたり、過去の勤務先などに在籍期間、雇用形態、職務内容などの確認を取ったりします。

まとめ

今回は、モンスター社員について詳細に説明しました。 重要なのは、採用時にモンスター社員になる可能性があるかどうかを見極めることです。一度採用してしまうと、簡単には解雇できないため会社への悪影響が懸念されます。   面接時の態度や経歴などをチェックしたり、リファレンスチェックやバックグラウンドチェックなどを行ったりして慎重に採用することが重要です。   企業調査センターでは、企業様から依頼された応募者のリファレンスチェックやバックグラウンドチェックを行っています。書類選考や面接だけでは把握できなかったことまでしっかりと調査し、モンスター社員となるリスクが潜んでいないか調べさせていただきます。   リファレンスチェックやバックグラウンドチェックについてご興味のある企業様がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。