採用前に反社チェックすべき5つの理由とは?反社チェックの2つの注意点も解説!

企業にとって、社員を採用する際の一つの大きな課題が反社チェックです。新しい人材を迎える喜びの一方で、その背景が健全であることの確認が必須となります。しかし、「方法がわからない」「確認が難しい」と感じている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、反社チェックの基礎知識からチェックのポイントまで、具体的に解説します。採用がより円滑に進むことで、企業全体の成長につながるというメリットが得られるでしょう。 ぜひ最後までお読みください。

反社チェックとは

反社チェックとは、企業活動を通じて反社会的勢力との接触や取引を防止するための措置です。これは、組織としての社会的責任を果たし、その運営を安定的に保つために不可欠なステップとなります。 日本政府は2007年、企業が反社会的勢力からの被害を未然に防ぐために具体的なガイドラインを発表しました。このガイドラインは、社会的責任とコンプライアンスを前提に、企業と反社会的勢力との関係を断つことを強く推奨しています。 その基本原則は以下の5つになります。 ・組織全体での対応策 ・専門的な外部機関と協力する ・取引を含むすべての接触を断つ ・有事の際の民事、刑事両面からの法的対応 ・裏取引や資金提供の完全な禁止 これに基づき、全国の各都道府県は「暴力団排除条例」を制定し、企業もその法令に従うようになりました。それに続き、「反社会的勢力への基本姿勢宣言」や「暴力団排除条項」を契約書に明記する対応が進められました。 反社チェックがなければ、反社会的勢力を無意識のうちに雇用したり、資金を提供したりする可能性があるため、その対策は極めて重要です。こうした行為は政府の指針に反するだけでなく、企業の社会的信頼を失い、その存続自体を脅かす可能性があります。 ですから、反社チェックは企業の責任であり、社会的な規範を守るための重要な一環であるといえるでしょう。

反社チェックの対象はどこまで?

反社チェックは、その対象範囲がどこまで広がるのか、多くの企業が興味を持つ問題です。結論、その範囲は従業員の全員を含んでいるべきです。 主に、正規雇用される新卒や中途採用者が反社チェックの対象となります。企業によっては「新卒は問題ない」と判断しているケースも存在しますが、大学生の逮捕なども珍しくない昨今、反社チェックは必要な対応といえます。 大学生が給付金詐欺に関与した事例も報道されていますし、身元保証人や緊急連絡先に反社会的勢力が指定されている可能性も完全に否定できません。したがって、「学生だから大丈夫」と一概に判断せず、彼らも対象範囲に含めるべきです。なお、現在では反社チェックを行う学校も増えてきており、企業のみならず、教育機関でも、その重要性が認識されています。 一方で、非正規のパート・アルバイトスタッフについても、同様に反社チェックは必要です。彼らが非正規雇用であっても、企業にとって重要な一員であることに変わりはなく、契約を結ぶ以上、正規雇用者と同等の責任と義務が生じます。 非正規雇用社員の採用解除は比較的手続きが簡単かもしれませんが、その解雇時に問題が生じる可能性もあります。したがって、雇用契約を結ぶ前に反社チェックを実施することが重要です。 これにより、企業は反社会的勢力との不必要な接触や、そのような勢力によるトラブルから自身を守れるでしょう。

採用時に反社チェックすべき5つの理由

企業が採用時に反社チェックを行う理由は多岐にわたります。単に社会的責任だけでなく、企業が自身のビジネスを維持、発展させるための必須の対応ともいえるでしょう。

政府指針で義務付けられているため

2007年に公表された政府の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」により、企業は反社チェックを行う義務を負っています。この指針は企業に対して反社会的勢力との一切の関係を遮断し、それを確認するための手段として反社チェックを挙げています。

暴力団排除条例が制定されているため

日本国内の各都道府県では「暴力団排除条例」が制定されています。たとえば、東京都の条例では、事業者に対し、契約の相手方が暴力団関係者でないことを確認する努力義務が課されています。

取引先・銀行との取引が中止になるリスクがあるため

反社会的勢力との関連が明らかになった企業は、取引先や金融機関から取引を停止されるリスクがあります。これは企業にとって深刻な経済的打撃をもたらします。それを防ぐためにも、採用時の反社チェックは必要です。

反社会勢力へ資金を流さないため

反社会的勢力に所属する人物を雇用すると、その人物への給与等が反社会的勢力の資金源となる可能性があります。企業は、自社の資源が社会の安寧を脅かす行為に利用されないように、採用時の反社チェックを実施するべきです。

上場できない・上場廃止のリスクがあるため

上場企業は、反社会的勢力との関わりがあると、上場廃止のリスクを招きます。また、未上場企業は、反社会的勢力との関わりがあると、上場の機会自体が失われる可能性があります。 投資家や株主は反社会的勢力との関係を強く忌避しており、企業価値を下げる原因につながるでしょう。これらの理由からも、採用時の反社チェックは必要となるでしょう。

反社チェックの実施方法とは

反社チェックは、企業が反社会的勢力と無意識のうちに関わらないために重要な手続きです。では、反社チェックは具体的にどのように行うのでしょうか。 ここでは、その具体的な方法について詳しく解説します。

公知情報を検索する

反社チェックの一つの方法として、公に利用可能な情報源を活用する方法があります。インターネット検索や新聞記事の確認がその一例です。特定の人物や組織についての情報を調査することで、その人物や組織が反社会的勢力と関連がないかを確認できます。 独自に実施可能な方法のため、費用を抑えられます。ただし、検索方法や情報の判断基準などのプロセスと、その証拠保存も忘れてはなりません。

調査会社に反社チェックを依頼する

専門的なスキルや深い知識が必要な場合、反社チェックを専門の調査会社に依頼することも一つの選択肢です。これらの調査会社は反社チェックに必要な情報を収集するための専門的なノウハウを持ち、反社会的勢力のデータベースを利用できます。 また、自社の手間や人件費を削減することも可能です。ただし、調査会社に依頼する際は、その費用や信頼性を考慮する必要があります。

行政機関に相談する

反社チェックに関する疑問や問題がある場合は、行政機関に相談するのも有効な手段です。とくに地元の公安委員会や警察署は、暴力団に関する情報を持っています。 その他、地方自治体の暴力団排除協議会や商工会議所も、具体的な対策の策定や情報提供を行っています。

採用で反社チェックを行う際の2つの注意点

反社チェックは、企業が反社会的勢力と不用意に関わることを防ぐ重要なプロセスです。しかし、反社チェックの際には注意が必要です。ここでは、とくに重要な2つの注意点について詳しく説明します。

反社チェックは内定前に実施する

採用選考時に反社チェックを行うことが非常に重要です。雇用関係が成立する前に反社チェックを行うことで、反社会的勢力との関係を未然に防ぐことができ、法令遵守も可能です。 一方で、従業員が入社した後に反社会的勢力との関連が判明した場合、大きな混乱と問題が生じます。懲戒解雇の手続きには時間と労力が必要となりますし、取引先や顧客からの信頼を損なう可能性があります。 これらのトラブルを防ぐためにも、反社チェックは採用選考時の段階で行うことが最善の策です。

個人情報の取り扱いに注意する

反社チェックは重要なプロセスですが、取り扱うべきではない個人情報が存在します。厚生労働省の指針では、採用選考時に収集してはならない個人情報が明確に定められています。具体的には、人種や民族、社会的身分、思想や信条、労働組合への加入状況などです。 反社チェックを行う際は、これらの指針に違反しないように十分な配慮が必要です。個人情報の取り扱いは法的な問題があり、とくに専門知識や経験がない場合は法令違反のリスクがあります。 もし不安な場合は、自社での実施ではなく専門の調査会社に依頼することも検討してみてください。これにより法令遵守を確保しつつ、効果的な反社チェックが可能となるでしょう。 厚生労働省|職業紹介事業に係る法令・指針

採用後に反社会勢力だと発覚した際の対処法

あなたが採用担当者だとして、採用者が反社会勢力だったことが判明するのは非常に厄介な問題です。しかし、そうなってしまった時のために、対処法を知っておくことは大切です。採用後に反社会勢力だと発覚した際の対処法が2つ存在します。   【解雇手続きの取り組み】 最初のステップとして解雇手続きを検討します。これは、入社誓約書がその根拠となります。とくに、反社排除に関する項目を含む誓約書があると、懲戒解雇がしやすいです。 しかし、反社排除の項目が入社誓約書に含まれていない場合は厄介です。そのような状況では、たとえその人が反社であったとしても、懲戒解雇の実施は困難となります。 もし、あなたの企業の入社誓約書に反社排除の項目がないのであれば、速やかに文書の見直しを行いましょう。   【専門家への相談】 次に考慮すべきは、顧問弁護士や行政機関への相談です。反社問題を自社だけで対処しようとすると、余計に状況が悪化することがあります。その結果、問題解決までに多大な時間を要する可能性があります。 そこで、最初から顧問弁護士や暴力追放運動センター、警察などに相談するのがおすすめです。これらの専門家や機関は、反社との問題に対する経験と知識を持っていますので、適切な対応と解決策を提供してくれるでしょう。

採用で反社チェック以外にすべきこと

反社チェックは企業が反社会的勢力と関わらないようにするための重要なプロセスですが、それだけでなく他にもさまざまな対策が求められます。今回は採用時に反社チェック以外にすべきこととして、就業規則への条項追加や誓約書提出の重要性について説明します。

就業規則に条項を追加する

反社会的勢力との関わりを避けるためには、就業規則に反社決別や反社排除、そして違反時の懲戒処分や内定取消に関する条項を含めることが必要です。厚生労働省も企業の倫理規程や行動規範、社内規則等に反社会的勢力からの被害防止について明文化することを推奨しています。 就業規則はさまざまなトラブルを予防し、発生時には適切な対処を可能にするためのものです。反社会的勢力との関わりについての記述がない場合、万が一反社会勢力が入社した際に、適切な措置を取ることが困難になる可能性があります。   厚生労働省|企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について

誓約書を提出してもらう

入社時には、新入社員に対して反社会的勢力との関わりの無いこと、そして将来も関わらないことを誓約する書類の提出を求めることが効果的です。誓約書には、現時点で反社会的勢力との関係がないことと、未来においても関与しないことを確認する内容を含めるのが良いでしょう。 また、誓約違反に対する対応として、内定取り消しや解雇などがあることも明記し、異議申立てをしないことを同意させるとより効果的です。 反社チェックだけではなく、これらの取り組みを行うことで、企業は反社会的勢力との不適切な関わりを防ぎ、その悪影響を最小限に抑えられるでしょう。

まとめ

本記事では、採用における反社チェックについて解説しました。重要なのは早期発見と早期対応、そして専門家の助けを借りることで、これらを遵守することで企業にとっての混乱を最小限に抑えることが可能となります。 しかし、反社会勢力とのトラブルは想像以上に複雑です。専門知識がないと、逆に問題を大きくするリスクもあるのが現状です。そこで、企業調査センターの利用をおすすめします。 企業調査センターは、社内の不正や反社会勢力の混入など、会社の内部調査を専門とする会社です。豊富な経験と知識を持つプロが詳細な調査を行い、社内での反社会勢力の発見や、法的な問題にも対応できるよう、信頼性の高い情報と助言を行います。 反社会勢力との関わりを発見した場合は、即座に対応策を練り、企業調査センターに相談することを心掛けてください。社内の安全と秩序を保つために全力でサポートします。 企業調査センター 公式サイト